大正12年(11陽会)1923年

NO3

☆神商の善戰も及ばず 榮冠二中に輝く
 四對八プラスA戰績にて神戸側代表旗を獲得☆

第一回=山田、酒井(清)共に四球に出でたる後今中絶好の中越三壘打を戞飛ばし兩者悠々踵を接し生還。網干の犠打に今中生還して先づ三點を獲得。西垣三振、酒井(孝)死球に出たるも大野の三振に退く。
△神二中=甲斐三振の後稻田左中間安打に出で續いて二盗したが東田三振、建部中飛に惜しくも無為。(神商三、神二中零)

第二回=神商赤松三振の後建部投手の肩慣れざるに乗じて江見、山田、酒井(清)三者四球に出で一死滿壘の好機を作ったが今井投匍に江見、今中併殺を喫す。
△神二中=尾西中飛失に出でたるも榎本三振、中野の遊匍に尾西、中野併殺を喫して無為。(兩軍零)

第三回=神商網干二匍失に一擧二壘に據り西垣遊直、酒井(清)三振の後三盗、大野の中前安打に生還。赤松四球に出たるも江見の三振に退く。
△神二中=石場投手左を抜く内野安打に出で三輪四球の後甲斐の遊匍失に一擧生還。稻田中飛の後東田の二匍を二壘手本壘に高投したる間三輪、甲斐踵を接して生還したが建部三振、尾西右飛に止む。(神商一、神二中三)

第四回=神商山田遊匍、酒井三壘右を抜く安打に出たが投手の牽制球に殺され今中投飛に無為。
△神二中=榎本四球に出で中野三振の後石場の投手右を抜く内野安打に一擧三進せんとし殺され三輪の遊三間安打に走者三二壘に據った時甲斐の左前安打に石場生還。稻田遊飛。(神商零、神二中一)

第五回=神商網干二飛、西垣遊飛、酒井(孝)三匍に凡退。
△神二中=東田右前安打に出で建部左飛、尾西四球の後三盗を試みるや捕手此を防がんとして三壘に悪投したる為め一擧生還。榎本三振の後中野の右翼安打に尾西生還。中野二盗したが石場三振に退く。(神商零、神二中二)

第六回=神商大野四球に出で赤松の犠打に二進したが江見四球、山田三匍、酒井
(清)三飛に退く。
△神二中=三輪死球に出たが甲斐二飛の後稻田の遊飛に遠く壘を離れ居た為併殺を喫す。(兩軍零)

第七回=神商今中一飛、網干三振の後西垣左前安打に出壘したが酒井(孝)の三振に得點なし。
△神二中=東田四球に出たが建部遊飛の後尾西の遊匍に併殺されて無為。(兩軍零)

第八回=神商大野三振、赤松遊匍、江見三振に三者凡退。
△神二中=榎本中飛の後中野投匍失に出で續いて二盗、石場三振の後三輪の遊匍失に走者三二壘に據りたる時甲斐の好打遠く中堅越の三壘打となり中野、三輪生還して二點を加ふ。稻田中飛。(神商零、神二中二)

第九回=神商軍最後の打撃に移る。山田三匍、酒井(清)三振の後今中四球を利して出たが網干三壘に飛球を送って萬事休し、結局四對八プラスAにて神二軍の勝利に歸し神戸側を代表することゝなった。時に四時四十分。

《武 陽》
【京神野球大會京都對神戸決勝戰】

◎對立命館中學 大正12年5月20日(日)山下グラウンド
 午後二時半、平井(球)稻垣、山内(壘)三氏の審判の下に我軍先攻にて開始さる。

〔第一回〕二中=甲斐劈頭二匍に死し稻田一匍、東田死球に出で投手の暴投に二壘に據ったが建部三振。
△立命=西浦投匍、岡島中前安打に出でゝ二盗、八木の三匍に三進、佐原四球に出たが安田の投匍に無為。(兩軍○)

〔第二回〕二中=尾西二匍、榎本右飛、中野三振三者凡退。
△立命=銅傳投匍、長谷川四球に出たが西村三匍、島田三振。(兩軍○)

〔第三回〕二中=石場四球に出たが三輪の遊匍に封殺され甲斐の遊匍に又もや三輪、甲斐併殺さる。
△立命=西浦二匍、岡島遊匍失に出で投手の牽制高投に二進、八木の二匍失に三壘に據る、時に佐原の遊匍を東田本壘に投げしが何事ぞ榎本逸し、岡島、八木相續いて生還、次に安田の三遊間安打に佐原三進、安田の二盗後銅傳の遊撃失に佐原生還、安田三進後銅傳二盗し長谷川のバントに安田本壘に刺されたが、銅傳三壘に進み長谷川二盗捕逸に兩者進壘、西村の三匍に止む。立軍一擧四點を得。(二中○、立命四)

〔第四回〕二中=安田投手辛辣を極め三者代って止む。
△立命=島田三邪飛、西浦左遊間三壘打に出で岡島の三壘安打に生還、八木の右翼安打に岡島三進、佐原の四球に滿壘となりしが安田の三匍に岡島本壘に封殺、銅傳の遊匍は安田を二壘に封殺す。(二中○、立命一)

〔第五回〕二中=尾西左中間に絶好の三壘打を放ち榎本の中堅犠打飛球に生還、中野二壘右抜の安打に出でたが二盗に刺され續く石場、三輪四球に出た時甲斐の右翼安打を右翼手本壘に暴投した為二者生還、甲斐三壘に據りしが稻田の二匍に退く。
△立命=長谷川左飛、西村投匍の後島田三匍失に出たが榎本の好投に二壘に刺さる。(二中三、立命○)

〔第六回〕二中=東田遊匍、建部、榎本三振後嵐の後の静けさの感あり。
△立命=西浦左越三壘打に出で岡島の左飛後八木の二匍失に生還、佐原の左前安打に八木二進したが安田の二匍に佐原封殺、八木その間に三壘に據ったが次で銅傳の左翼越三壘打に八木、安田生還、長谷川の二飛に止む。(二中二、立命三)

〔第七回〕二中=榎本三匍、中野、石場四球に出たが三輪、甲斐の中飛に無為。
△立命=西村自ら打ちたる球に觸れて死し島田三直、西浦の三振凡退。(兩軍○)

〔第八回〕二中=戰は終局に近し、敵に譲ること五點一擧に挽回せんと結束して立つ、稻田四球を利し機會を作れば續く東田見事二壘を突破し走者一二壘に據る、時しも建部左翼越三壘打に二者生還、尾西の遊匍に建部生還、榎本(東田代走)四球に出で中野の二飛の後二盗續いて三盗せんとして惜しくも刺さる。
△立命=岡島中飛、八木四球に出たが佐原三飛、安田中飛に無為。(二中三、立命○)

〔第九回〕二中=戰は最後なり差は僅かに二點、細雨來り凄愴の氣場に滿つ、されど安田の投球依然亂れず石場三振、三輪左飛、甲斐の物凄ぎ右翼ライナーあたら正面を突き功を奏せず凡退。
噫二中軍又起つ能はず八對A六我軍遂に破れぬ。時に四時三十五分。

▽神戸代表・神戸二中=京都代表・立命館中決勝戰
 神戸二中 000 030 030=6
 立命館中 004 103 00X=8


 〔二 中〕 打得安犠盗三四失残
       數點打打壘振球策壘
 7 甲 斐 501000001
 8 稻 田 310001100
 6 東 田 311001121
 1 建 部 411003010
 4 尾 西 411001000
 2 榎 本 200110120
 9 中 野 301101101
 3 石 場 110001311
 5 三 輪 310000110
    合計 2865218874

 〔立 命〕 打得安犠盗三四失残
       數點打打壘振球策壘
 9 西 浦 522001000
 4 岡 島 512010001
 8 八 木 421000102
 6 佐 原 311000202
 1 安 田 511000000
 3 銅 傳 411000002
 7 長谷川 300000112
 5 西 村 400001000
 2 島 田 400000010
    合計 3788012429

〈神戸新聞〉
【第2回京神中等學校對抗野球戰】
京都・立命館中學(京都優勝校)對兵庫縣立神戸第二中學(神戸優勝校)
▽優勝決定戰

 大正12年5月20日(日)神戸・大手山下グラウンド
 午後3時=4時20分 審判・平井(球)稻垣、山内(壘)

   (失策)000 020 000=2
   (安打)000 030 020=5
 神戸二中 000 030 030=6
 立命館中 004 103 00X=8

   (安打)101 303 00 =8
   (失策)004 011 000=6

       打得安犠盗三四刺補失残
〔神戸二中〕 數點打打壘振球殺殺策壘
 7 甲 斐 50100002001
 8 稻 田 31000114000
 6 東 田 31100111111
 1 建 部 41100300400
 4 尾 西 41100102020
 2 榎 本 20011014110
 9 中 野 30110110001
 3 石 場 11000138011
 5 三 輪 31000013410
    計  28652188241064

       打得安犠盗三四刺補失残
〔立命館中〕 數點打打壘振球殺殺策壘
 9 西 浦 52200102000
 4 岡 島 51201003501
 8 八 木 42100012002
 6 佐 原 31100021402
 1 安 田 51100000000
 3 銅 傳 41100007102
 7 長谷川 30000012022
 5 西 村 40000102000
 2 島 田 40000008100
    計  37880124271129

 △三壘打=西浦2、尾西、建部 △併殺=(佐原、岡島、銅傳)△暴投=安田
 △捕逸=榎本 △試合時間=2時間20分