大正12年(11陽会)1923年

NO2

☆克く攻め克く守って 神二中遂に勝つ
 一勝一敗手に汗握る戰績に 觀衆の殆ど其の極に達す 二對一のスコアー☆

〔第一回〕二中=甲斐、稻田共に二匍、東田投匍に凡退。
△關西=西川左飛の後岡田三匍一壘悪投に出たが今北の遊匍に併殺を喫す。(兩軍零)

〔第二回〕二中=建部三振、尾西一匍の後を受けた榎本の長棍一打遠く中堅越の本壘打を戞飛ばし貴重なる一點を先取、中野三振。
△關西=井田二匍、細川遊匍失に出で續いて二盗、小林の一匍に三進、花房の左翼右を抜く安打に生還、同點となる。堀川一飛。(神二中一、關西一)

〔第三回〕二中凡退。
△關西=中村死球に出で西川の犠打に二進したが岡田、今北兩者三振に止む。(兩軍零)

〔第四回〕二中=稻田一直、東田遊匍、建部投匍。
△關西=井田、細川兩者三振、小林遊飛に無為。(兩軍零)

〔第五回〕二中=尾西右飛、榎本右前に好打したが一壘に刺され中野の三振に無為。
△關西=花房三振の後堀川投匍一壘悪投に出で續いて二盗したが中村三振、西川一匍に止む。(兩軍零)

〔第六回〕二中=石場内野安打に出たるも三輪の遊匍に封殺さる。甲斐の一匍に三輪二進、稻田の右前安打に亦三進したが東田の一匍に好機を逸す。
△關西=岡田遊匍、今北二匍失に出たが井田右飛の後二盗せんとして刺さる。(兩軍零)

〔第七回〕二中=建部三振、尾西一匍の後榎本一壘越の二壘打を戞飛ばしたが中野の二匍に得點なし。
△關西=細川遊飛、小林左前安打に出で花房三振の後二盗せんとして捕手の好投に刺さる。(兩軍零)

〔第八回〕二中=石場、三輪一飛の後甲斐遊三間内野安打に出で續いて二盗したるも稻田の三振に得點なし。
△關西=堀川遊匍失に出で中村の一匍と投手の二壘野選に生き西川の犠打に三進した後本盗せんとして惜しくも挟殺、岡田遊飛に好機を逸す。(兩軍零)

〔第九回〕最後の回は遂に來たが依然同點である。二中猛然と立ち先づ東田投匍二壘失に生き續く建部の左翼右を抜く二壘打を左翼手ハンブルした隙に一擧生還、貴重な一點を得、觀衆熱狂して急霰の如き拍手暫止まず、尾西三振の後建部、榎本の投匍に本壘を強襲して惜しくも寸前に刺され榎本又二盗せんとして止む。

△關西=今北の飛球遠く左翼頭上をすぎ觀衆の頭に落ちんと見えた時甲斐巧に後退して發止と受け止め二中軍の危機を救ふ。續く井田中前安打に出たが細川の投匍を無謀にも連盗せんとして三壘にさゝれて萬事休す。結局二對一のスコアーを以って二中軍の勝利に歸す。時五時三十分。

《武 陽》
【神戸二中優勝】
大正12年5月13日(日)山下グラウンド
◎對縣立神戸商業優勝戰
 午後二時二十分、稻田、寺戸兩氏審判敵軍先攻にて開始さる。

〔第一回〕神商=山田、酒井(清)四球に出で今井の左中間三壘打に生還、網干の犠打に今中歸り先づ三點を獲得す。西垣三振、酒井(孝)死球に出でたるも大野三振。
△二中=珍らしく甲斐三振後稻田左中間安打に出で二盗したるも東田三振、建部三壘右を抜く直球惜しくもファウルとなり、中飛に無為。(神商三、二中○)

〔第二回〕神商=赤松三振後建部投手の肩馴れざるに乗じ、江見、山田、酒井よく選んで三者四球に出で好機を作ったが、今井の投匍に江見、今中併殺さる。
△二中=尾西中飛失に出でたるも榎本三振、中野の遊匍に尾西、中野併殺。(兩軍○)

〔第三回〕神商=網干一匍石場失し一擧二壘に據る、西垣遊飛、酒井(清)三振後三盗大野の中前安打に生還、赤松四球に出でたるも江見の三振に退く。
△二中=敵已に四點を先取す、我軍石場先づ二壘を過らして出で三輪の四球に二進、甲斐の遊匍失に一擧生還、稻田中飛の後東田の二匍を壘手本壘高投に三輪、甲斐生還、三點を回復す。建部三振、尾西遊飛に止む。(神商一、二中三)

〔第四回〕神商=山田投匍、酒井三壘右を抜く安打に出でたが投手の牽制球に刺され、今中投飛に凡退。
△二中=榎本死球に出で中野三振の後石場の投手左を抜く安打に一擧三進せんとして刺され三輪の遊三間安打に石場三進、三輪の二盗後甲斐三越安打に石場生還、甲斐二盗せしも稻田遊飛、されど同點となる。(神商○、二中一)

〔第五回〕神商=網干二飛、西垣遊飛、酒井三匍。
△二中=東田右前安打に出で建部左飛、尾西四球、二者重壘を試みるや捕手網干三壘に暴投して東田一擧生還、尾西三壘に據り榎本の三振後中野の二越安打に生還、石場三振。(神商○、二中二)

〔第六回〕神商=大野四球に出で赤松の犠打に二進、江見四球、山田三匍に大野三進したが酒井の三飛に無為。
△二中=三輪死球に出でたが甲斐二飛、稻田の遊飛に三輪歸壘後れ併殺さる。(兩軍○)

〔第七回〕神商=今井一飛、網干三振の後西垣左前安打に出たが酒井三振。
△二中=東田四球に出たが建部の遊飛後尾西の遊匍に併殺さる(兩軍○)

〔第八回〕神商=大野三振、赤松遊匍、江見の三振に三者凡退。
△二中=榎本中飛の後中野遊撃を突き一壘手の失に生き石場の三振後二盗、三輪遊匍失に三進、三輪の二盗後甲斐の中越三壘打に中野、三輪生還、稻田中飛勝敗已に定まれるが如し。(神商○、二中二)

〔第九回〕神商=最後の攻撃に移る、山田三匍、酒井三振の後今中四球に出たが網干の三飛に無為。遂に我軍の勝利に歸す。八プラスA對四、年來の復讐を遂げ榮ある優勝旗は我軍の掌中に入る。時に四時四十分なりき。

▽優勝戰
 神戸商業 301 000 000=4
 神戸二中 003 120 02X=8

 〔二 中〕 打得安犠盗三四失残
       數點打打壘振球策壘
 7 甲 斐 512001002
 8 稻 田 501010001
 6 東 田 311011101
 1 建 部 400001000
 4 尾 西 310010100
 2 榎 本 300002000
 9 中 野 411021001
 3 石 場 421002110
 5 三 輪 221000001
    合計 3387058316

 〔神 商〕 打得安犠盗三四失残
       數點打打壘振球策壘
 6 山 田 310000221
 7 酒井清 311001211
 1 今 中 411000101
 2 網 干 410011000
 8 西 垣 401001001
 9 酒井孝 300002011
 5 大 野 301002102
 3 赤 松 200101111
 4 丘 見 200002211
    合計 284411101069

〈神戸新聞〉
大正12年5月13日(日)神戸・大手山下グラウンド
午後2時20分=4時40分 審判・稻田(球)寺戸(壘)

▽優勝戰
   (敵失)001 000 000=1
   (安打)101 100 100=4
 神戸商業 301 000 000=4
 神戸二中 003 120 02X=8

   (安打)101 320 001=8
   (敵失)012 010 002=6

 〔神戸商〕 打得安犠盗三四刺補失残
       數點打打壘振球殺殺策壘
 6 山 田 31000024421
 7 酒井清 31100121011
 1 今 中 41100010111
 2 網 干 41011108000
 8 西 垣 40100104001
 9 酒井孝 30000211001
 5 大 野 30100211012
 3 赤 松 20010111001
 4 江 見 20000222111
     計 284421101022669

 〔神二中〕 打得安犠盗三四刺補失残
       數點打打壘振球殺殺策壘
 7 甲 斐 51200100002
 8 稻 田 50101000001
 6 東 田 31100112201
 1 建 部 40000101310
 4 尾 西 31000011000
 2 榎 本 300002111100
 9 中 野 41102100001
 3 石 場 422002010010
 5 三 輪 22100022401
     計 33880385271026

 ▽三壘打=今中1、甲斐1 ▽併殺=(建部、榎本、石場)(山田、赤松)(山田、 
  江見、赤松) 試合時間=2時間20分