◎對村野工業戰
昭和7年6月15日(水)神戸二中 午後4時開始
神戸二中 400 062=12
村野工業 010 000=1
(6回コールドゲーム)
〔二 中〕 〔村 工〕
9 田中敏 6 吉 田
6 成 川 4 前 田
2 佐久間 2 増 田
8 田中柳 5 森 本
17 野 田 7 山 本
5 池 田 8 重 松
3 名 倉 1 河 合
7 松 村 3 花 房
1 井 貝 9 鳥 飼
4 梶 井
打得安犠盗三四失 打得安犠盗三四失
數點打打壘振球策 數點打打壘振球策
2812708186 241401749
△審判=筒井(球)中島、荒木(壘) △二壘打=佐久間、池田、梶井、鳥飼
△本壘打=田中敏 △残壘=二中7、村工9
◎對御影師範戰
昭和7年6月25日(土)神戸二中 午後3時開始
神戸二中 5−4 御影師範
我軍のメンバー
9 田中敏 打數30
6 成 川 得點5
2 佐久間 安打6
1 田中柳 犠打0
8 野 田 盗壘1
5 池 田 三振5
3 名 倉 四球5
7 松 村 失策9
4 梶 井 残壘6
△審判=森本(球)中島、筒井(壘)
△三壘打=田中柳、野田
御師バッテリー 中内、森澤−井上
◎對神戸三中戰
昭和7年7月19日(火)神戸市民運動場 午後2時開始
神戸三中 030 000 000 000 1=4
神戸二中 000 030 000 000 0=3
(13回補回戰)
〔三 中〕 〔二 中〕
6 三 笠 9 田中敏
3 平 田 6 成 川
1 原 2 佐久間
8 松宇井 8 田中柳
7 平 井 1 野 田
5 古 田 5 池 田
4 岡 田 3 名 倉
9 徳 久 7 松 村
PH 江 川 4 梶 井
2 太 田
打得安犠盗三四失 打得安犠盗三四失
數點打打壘振球策 數點打打壘振球策
474121095 483934751
△審判=大橋(球)山中(壘) △二壘打=名倉、太田
△三壘打=佐久間、成川、江川 △残壘=二中14、三中13
夏の大會を目前にひかえて、此の不覚の一戰は、我軍に活を入れる事になった。
此の日我軍の打撃陣振はざるに反し、敵投手原は左投手特有のアウトシュート、打者の膝邊をつく低めのインドロは實によくコントロールされてゐた。
◎對第一神港戰
昭和7年6月18日(土)神戸市民運動場 午後2時開始
第一神港 101 000 300=5
神戸二中 110 011 30A=7
〔一 神〕 〔二 中〕
7 瀧 田 9 田中敏
6 橋 本 6 成 川
85 釣 2 佐久間
3 村 上 1 田中柳
18 太 田 8 野 田
51 斐 5 池 田
9 本 多 3 名 倉
4 梶 原 7 松 村
2 濱 田 4 梶 井
打得安犠盗三四失 打得安犠盗三四失
數點打打壘振球策 數點打打壘振球策
305603962 3571320852
△審判=泉谷(球)森本(壘) △三壘打=池田、田中柳、名倉、釣2
△二壘打=池田 △併殺=成川−梶井−名倉 △残壘=二中11、一神7
神港は太田に昔日の威力なく、只僅に釣の猛打によって、往年の片鱗を表すのみで、再度勝を我に譲る。
《武 陽》
【第18回全國中等學校優勝野球大會兵庫豫選】
錦繍燦たる覇王の象旗が中京商業によって、金鯱城頭に翩然としてひるがえってより此に一年、時はくろがねをも溶かさんづる酷烈の盛夏、人は二十餘校をすぐる全縣下の猛者、この兩者を征服してスポーツニホンの若人が、憧がれの殿堂たる、輝きの中等學校野球界の王座に攀ぢ登るのである。
熱はもって炎威をたぢろがせ、鋭氣はもって鬼神をも挫くにあらざるよりは、この難事金輪際成就しやうはずはない。こゝに我校も馬場先生を始め大橋、丸山、池田等諸先輩の御指導のもとに六月下旬より火の出る様な猛練習を為し、洋々たる自信を持って第一回戰に臨んだ。
昭和7年7月28日(木)甲子園
▽1回戰
縣立農業 010 00=1
神戸二中 634 0A=13
(5回コールドゲーム)
〔縣 農〕 打得安犠盗三四失残
5 山 本 301001000
4 伊 藤 300000000
2 釜 谷 300001000
6 河 越 110001100
3 興 津 000000101
1 山 脇 200002010
7 西 村 000000202
9 西 垣 100000101
8 久 本 200002000
計 1511007514
〔二 中〕打得安犠盗三四失残
6 成 川 424040002
5 池 田 422010000
2 佐久間 030000300
7 能 勢 100001000
181 田中柳 322000100
81 野 田 323000001
3 名 倉 200001101
9 田中敏 010020100
1 井 貝 200001000
72 松 村 200000101
4 梶 井 210000101
計 231311053806
△本壘打=野田 △併殺=田中柳−名倉 △捕逸=釜谷3
審判=生駒(球)泉谷、杉村(壘)
◎對縣農
灼熱の陽光グラウンドの白砂の上に、緑の芝生の陽炎ひ立つ、こゝ甲子園の夏、七月二十八日。相手は新進縣農、白雲去來する蒼天のもと選ばれた各校代表が大衆の前に忍従一年の努力のあとを傾け盡して戰ふところ純眞無垢の若人の意氣は凝って長棍一打となり、鐡壁の守備となる。
早くも展開された白熱の好ゲームは觀衆を沸きに沸かせ、渾然融けて、無我の境に入る。スタンドの一角より三拍子の拍手が起こると見れば忽ち全大衆之に和して大鐵傘にこだまし、むしろ凄愴、選手はよごれたユニホームに母校の名譽を包んで健闘す。かくて午後二時生駒(球)泉谷、杉村三氏審判のもとに縣農先攻で開始。
此の日、朝來影をひそめてゐた太陽が午後に入るや暗雲を拂って、さんさんと輝き渡り、溌剌たる光波みなぎる、球場に青芝燃えて、スタンドは沸ぎる暑熱だ。健兒の意気盛んにダイヤモンドをめぐって馳驅する鬪魂の雄びは明朗の旋律を描き、豪宕の名曲を綴って、若き日を謳ふ一大交響楽と化し、觀衆は轉飛する白球を追ふて、たゞ近代スポーツの醍醐味に陶醉してゆく。
第一回(縣農零)山本三振、伊藤二飛、釜谷三振。
(二中六)成川中前安打に出で、二盗し、池田の遊撃内野安打に三進、池田も二盗、佐久間四球、田中柳の内野安打に成川生還、野田の三遊間安打に池田、佐久間生還、田中は二壘に到り、捕逸で、田中一舉生還、野田も三壘に到り名倉、田中敏共に四球、松村投飛したが梶井の遊匍、名倉三壘に死す間に野田還り、成川再度の中堅ヒットに田中敏生還、成川二盗なったが池田左飛で漸く終る。
第二回(縣農一)河越四球、興津も四球、山脇三振後西村死球で一死滿壘となり、西垣は粘って四球に出で、河越押され、一點を得たが久本三振、山本二匍。
(二中三)佐久間四球に出で捕逸に進み、田中柳四球後野田の左中間を抜くゴロはホームランとなり、三者くつわを竝べて生還、名倉三振、田中敏に代わる井貝三邪飛、松村三匍。
第三回(縣農零)伊藤遊匍、釜谷中飛、河越三振。
(二中四)梶井四球に出て、成川の二越安打に三進し、成川二盗後池田の右前安打に梶井還り、池田も其の間に二壘に生き佐久間四球後田中柳の三遊間安打に成川生還、野田の一二壘間の安打に池田、佐久間の二者ホームイン。續く名倉の三匍は田中を三壘に封殺し、井貝三振二死後松村四球に出たが梶井二飛。
第四回(兩軍零)縣農、山脇三振後西村四球に出て、西垣の二匍に進んだが久本三振。
二中、成川三壘前のセーフティーバントに成功し二盗、池田右飛後投手の捕手からの返球を失する間に三壘に進んだが、佐久間に代わった能勢三振、田中柳遊匍。
第五回(縣農零)山本中前安打に出たが伊藤の投直に重殺、釜谷左飛しこのウイニングボールは初陣能勢の手におさまる。
〔後記〕此の日あるが為に膚をつくざく寒風に曝され、手足爛かす烈日に焼かれて鍛冶精練にこそいそしめ、七百チームの若人が血をたぎらせて憧れの殿をこそ仰げ、若き球人の目指す尊くも輝しの王座を前にして、想へ!燦然と輝く紫旆を目指して勇み立つ若人の意氣を雄姿を!
此の日三回目調子悪しかりし田中柳に代った井貝の第四球で佐久間チップで突指し大事をとりて佐久間ベンチに退き、松村が本壘を守ったが好漢よく其の任を盡してゐた。
敵が安打僅かに一本なるに反し、我軍は成川、野田の十割の打率が光ってゐた。縣農には今年見るべき處更になく、昨年御師を苦しめた様子は毫も見られなかった。我軍はあまり相手が弱すぎたので、二回戰以後は苦戰しないかと心配せしめた程であった。
|