昭和3年(16陽会)1928年

NO3

〈神戸新聞〉
[ダイヤコーチリーグ]

昭和3年5月22日(火)甲子園 午後5時=7時5分 球審・栗本、壘審・福田

 神戸二中 100 001 004=6
 高津中學 000 000 003=3


 〔二 中〕      〔高 津〕
 8 山 本 30打數30 6 菅 沼
 6 池 田 10安打4 4 久次米
 1 大 橋 0犠打0 1 竹 内
 3 田 中 6盗壘0 3 浅 井
 5 丸 山 9三振10 5 吉 川
 4 牧 野 6四死2 8 渡 邊
 9 甲 斐 3失策3 2 岡 田
 2 前 田 1二打0 9 松 村
 7 大 田 1三打1 7 富 田
            PH=八回高津、橋本

《武 陽》
◎第三戰。本校對御影師範
 昭和3年5月26日(土)甲子園
第一回。(二中)第一打者池田四球に出で、太田の二匍に二進し、直ちに三盗を企てゝ成功、捕手三壘へ暴投して、そのまゝ生還、大橋左飛に退きし後、田中遊撃の背後にテキサスを打って出で、盗壘せしが、丸山二匍に入らず。
(御師)二死後大西の左前安打ありしのみ。

第二回。(二中)一死後甲斐、前田と四球に續き、山本の遊匍失に滿壘となりしが、甲斐離壘せしため三本間に挟殺され、その間に前田、山本二三壘に據る、この時、池田主将の一打美事なる三遊間安打、前田勇躍生還。太田三邪飛。
(御師)二死後中山中前直球安打せしのみ。

第三回。(二中)大橋二飛に退きし後、田中の痛烈なる猛ゴロ遊撃を抜いて出で、丸山二壘背後のテキサス、牧野三壘右を抜く安打、甲斐も三遊間安打し、前田三壘飛に終りしが四安打に更に一點を加ふ。
(御師)桑田四球に出で、一番打者蔭山の一打左中間を抜く三壘打となりて生還、一點を返す。

第四回。(二中)太田セイフティバント成功せしのみ。
(御師)一死後眞邊遊匍一失に三進、神澤のスクイズバントに生還。

第五回。(二中)田中第三度目のヒットを右前に呈して出壘、丸山の犠打と牧野の遊匍失に生還。
(御師)三者三振。

第六回。(二中)前田デッドボールに出壘、山本の遊側安打に二進、續いて三盗を企て憤死せしが、太田遊前内野安打になりて山本生還、大橋の一撃は右中間を深く抜く三壘打を放ちて太田も生還、續いて出でしは田中、ヘヴィー打者、球も碎けよと一打すれば、又しても右中間を抜く大ホームランとなり大橋、田中相次いで生還。一擧四點を奪ふ。
(御師)二アウト後山口三匍失に出で、眞邊左飛失に三進、本壘を襲へば池田暴投して生還。

第七回。兩軍凡退。
第八回。一死後池田遊失に出壘、續く太田右中間大三壘打に生還。一點を加ふ。
(御師)一安打ありしのみ。

第九回。我軍攻めて無く、御師五點の頽勢を一氣に盛返さんとよく攻めたるも、桑田二匍失に出でたるのみにて、後續三振に我軍勝つ。記録九−四。

 神戸二中 111 014 010=9
 御影師範 001 102 000=4


 〔二 中〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 6 池 田 42100002010
 7 太 田 31201011011
 1 大 橋 51101000100
 3 田 中 52400101001
 5 丸 山 41100010101
 4 牧 野 50100000102
 9 甲 斐 40100000010
 2 前 田 31000000120
 8 山 本 31100002011
   合 計 3691202126466

 〔御 師〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 2 蔭 山 50101000401
 7 山 本 40000000200
 3 大 西 40100000103
 6 山 口 41100000101
 4 眞 邊 42200000000
 8 神 澤 30000000100
 5 中 山 40100000001
 91 原 田 30000000100
 19 伊 藤 10000000000
 1 桑 田 21000000120
   合 計 3446010001126

〈神戸新聞〉
[ダイヤコーチリーグ]

昭和3年5月26日(土)甲子園 午後4時40分=6時50分 球審・小野、壘審・栗本

 神戸二中 111 014 010=9
 御影師範 001 102 000=4


 〔二 中〕      〔御 師〕
 6 池 田 37打數35 2 蔭 山
 7 太 田 11安打9 7 山 本
 1 大 橋 1犠打1 3 大 西
 3 田 中 6盗壘1 6 山 口
 5 丸 山 4三振11 4 眞 邊
 4 牧 野 6四死2 8 神 澤
 9 甲 斐 3失策5 5 中 山
 2 前 田 0二打1 9 原 田
 8 山 本 2三打2 191 谷 口
       1本打0 19 伊 藤

《武 陽》
◎第五戰。本校對北野中學
 昭和3年6月4日(日)甲子園
 ※第四戰と第五戰の日が後先になっている。
 大阪一角の強剛北野中學と戰ひ八對零のスコアを以て大勝す。

☆燦たる哉牧野の大本壘打。
 二回迄兩軍得點なく二回に於ては北中前後唯一の一、二間安打に走者を出ししのみ。三回に入るや我軍總攻撃を開始、山本先づ四球に出で池田のバントに送られ、續く太田の二遊間を抜くライナーヒットに出づれば山本駿足を利して長驅生還、大橋四球に走者一、二壘に據る時、吾軍の至寶田中の左翼背後に落つる二壘打に二者踵を接して生還、丸山も亦左翼左へ直球を呈して二壘打となり、田中も生還し、一擧四點を奪ひて、我軍の打棒物凄く振ひ、敵投手の心膽を寒からしむ。

 その後も盛に打棒の脅威を感ぜしめしも得點なく、第八回に入りて、劈頭丸山四球に出づるや年少打者牧野の一撃、白球は絲の如き線を引きて左翼を越え、遥か彼方のフェンス近くに落つる大ホームランとなりて丸山、牧野相次いで生還、更に得點を加ふ。

 九回二死後大橋四球に出で、悠々として我がベーブ田中ボックスに入れば、外野手豫め後退し置きて猛撃に振ふ。田中の面上微苦笑あり。一撃すれば又しても右中間を抜く三壘打なり、大橋ソロソロと生還。田中は9−4−5のリレーを三壘失する間に生還、大勢決す。
 吾軍かくて八點を擧げしが、その間北野軍は大橋の好投に阻まれて僅かに一安打、三振十五を算し無残に潰走す。記録は八對零。

 神戸二中 004 000 022=8
 北野中學 000 000 000=0


 〔二 中〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 6 池 田 30000010002
 7 太 田 41100002000
 1 大 橋 22100001030
 3 田 中 52211000100
 5 丸 山 31110000120
 4 牧 野 41100100101
 9 甲 斐 30100001010
 2 前 田 40000000001
 8 山 本 31100000210
   合 計 318821114574

 〔北 野〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 6 三 宅 30000000110
 4 安 田 40000000300
 8 尾 形 30000010100
 1  林  40000000100
 2 山 田 40000000101
 3 矢 野 30100000101
 5 島 田 30000001211
 9 服 部 30000000310
 7 里 田 20000000200
   合 計 2901000111533

〈神戸新聞〉
[ダイヤコーチリーグ]

昭和3年6月4日(月)甲子園 午後4時40分=6時50分 球審・黒田、壘審・丸泉
 神戸二中 004 000 022=8
 北野中學 000 000 000=0


 〔二 中〕      〔北野中〕
 6 池 田 33打數31 6 三 宅
 7 太 田 8安打3 4 安 田
 1 大 橋 1犠打1 8 尾 形
 3 田 中 5盗壘0 1  林 
 5 丸 山 5三振15 2 山 田
 4 牧 野 7四死3 3 矢 野
 9 甲 斐 3失策4 5 嶋 田
 2 前 田 2二打0 9 渡 部
 8 山 本 1本打0 7 里 田

《武 陽》
◎第四戰。本校對神港商業
 昭和3年6月6日(水)甲子園
 六月六日、甲子園頭に相見えしは、縣下の雄神港商業なり。過ぐる幾年、戰ひて勝ちしことなき我軍も今春練習試合に甲斐投手を立てゝ七對五の勝利を得たる騎虎の勢ひを驅って、本日再び撃碎せんとす。

第一回。(二中)池田主将二−二後好球を看過し三進。續く太田遊匍失に出で盗壘せしも、後續當らず。
(神港)一番打者中根遊匍に退きたる後、尾上一壘右を抜く強匍安打に出でしも、投手牽制に掛りて一、二間に挟殺され、強打者高瀬も二−○後外角を通るストレートの好球を看過して三振。

第二回。丸山三振、牧野よく粘りし後二匍に退き、甲斐四球に出でしも前田貧弱なる二飛に止む。
(神港)西垣、後藤相次いで三振、倉ライト左の直球安打に出で直ちに二盗、岸本セレクトよく四球に出でしが島遊匍に止む。

第三回。ラストバッター山本一−二後稍々高めのストレートの好球を中前へライナーヒットに出發、池田第二度目の三振を喫せし後、盗壘、太田の二匍に三進せしも、大橋三振に好機を失す。
(神港)三者凡退。凡打投手大橋の好投目醒し。

第四回。(二中)丸山四球に出でたれども、他の三者三振に退き、岸本投手若冠なれども、有効なるドロップをしきりに用ひて我軍の打撃を悩ます。
(神港)高瀬の一撃レフトをオーヴァ、ホームランと見えしも太田好走又好走、よく二壘打に止む。西垣中飛、後藤左飛に二死、高瀬三盗を企てしも、前田の好投に、三壘寸前に憤死す。

第五回。長棍を提げてボックスに入りし前田、一撃すればショートの眞正面へ惜しやライナー。山本再び安打を三壘右に放って出でしも、池田、太田凡退。
(神港)三者凡退。

第六回。二死丸山の一撃右翼右に落つるを翼手止め得ず、三壘打となりしが、牧野三振して空し。
(神港)濱崎三振、中根投匍、尾上捕邪飛に哀れに退く。

第七回。甲斐三振、前田投匍、山本三振に我軍も振はず。
(神港)高瀬三遊間を抜く安打に出壘せしも、續く西垣の猛直を大橋の美技に得られて、一壘に重殺を喰ひ、悲涙を呑んで壘を去る。後藤の一撃猛ゴロとなって大橋を襲へば、グラヴに觸れて投遊二間の死角内に落ちて内野安打となり一壘に生きしも、二盗を企てゝ前田の好投に刺さる。

第八回。兩軍凡退。
第九回。最終回に入りて兩軍奮起せしも、兩投手よく投げバックメンよく守りて三者凡退。

第十回。かくて兩軍無得點のまゝ補回に入り、我軍勝敗を一氣に決せんと蹶起し、甲斐遊匍に倒れて後、前田の三匍一失に端を發し、續く山本三壘線近くにバントすれば、投手周章してこれを一壘に投ぜしも、駿足なる山本なれば、間に合わず、前田二進、第一打者池田ボックスにあるとき第二球を捕手逸球し、ランナー二三壘に據る。

 池田二匍すれば、二壘手前進守備を取らず一壘に投じて池田死せしも先づ一點を奪ひて吾軍勇躍す。續く太田の一撃すれば、左打者理想的の三遊間安打となりて山本も生還。太田二盗後、大橋二壘背後にテキサスを揚げて、太田二壘より長驅生還。右翼手本壘に投ずる間に大橋二盗なほ得點の機を窺ひしが、田中遊匍して漸く攻撃を終る。

(神港)三點を奪還せんと奮起せしも、高瀬中飛、西垣遊匍、後藤三振に果敢なき最後を遂ぐ。かくて三對零の戰績を以て神港を屠り凱歌を揚ぐ。
我軍優勝候補神港商業を破りて、本大會優勝の自信を固む。

 神戸二中 000 000 000 3=3
 神港商業 000 000 000 0=0

 (延長10回)

 〔二 中〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 6 池 田 40000010400
 7 太 田 41100002000
 1 大 橋 50100001100
 3 田 中 50000000400
 5 丸 山 30101000110
 4 牧 野 40000000310
 9 甲 斐 30000000201
 2 前 田 41000001001
 8 山 本 41300001100
 合 計 3636010151622

 〔神 港〕 打得安二三本犠盗三四失
       數點打打打打打壘振死策
 8 中 根 40000000000
 4 尾 上 40100000000
 7 高 瀬 40210000100
 15 西 垣 40000000100
 3 後 藤 40100000202
 2  倉  30100001001
 15 岸 本 20000000110
 9  島  20000000010
 6 濱 崎 30000000100
   合 計 300510001623

〈神戸新聞〉
[ダイヤコーチリーグ]

昭和3年6月6日(水)甲子園
 神戸二中000 000 003=3
 神港商業000 000 000=0


 〔神二中〕      〔神港商〕
 6 池 田 30打數34 8 中 根
 7 太 田 5安打6 4 尾 上
 1 大 橋 3犠打0 7 高 瀬
 3 田 中 1盗壘2 5 西 垣
 5 丸 山 6三振16 3 後 藤
 4 牧 野 2四死2 2  倉 
 9 甲 斐 2失策2 1 岸 本
 2 前 田 1二打0 9  嶋 
 8 山 本 0三打1 6 濱 崎