◎對育英商業戰
先づ活動期に入れる吾等は先づ育英商業と對戰する事になった。先輩の歴史に感じ、黄金時代再現を目的とする吾等の前に強豪たりとも何者かあらん、彼に古強者多しと雖も我が新鋭の士あり、我が好調の藤井を立て、彼の剛球の中橋を出陣せしめたり。
我れ攻撃ではよく打ち、よく選び、且よく走り、又守備ではよく投げ、よく守れり、七回育英投手交替迄に最早七−三とリードせり然れども九回本壘打、三壘打、二壘打等盛んに打ちて我を危ふきにおとし入れたる時、流石は育英なり、二中は荒削りの故もっと伸びると先輩諸氏も口を揃へて言はれる暗いだから我々は此の機會に益々精進せんことを期せり。
昭和11年10月4日(水)神戸二中
審判(球)西谷(壘)道下、花内
育英商業 002 000 106=9
神戸二中 240 001 21A=10
〔育 英〕 打得安犠盗三四失
中 辰 巳 51100200
左 加 藤 31000020
一 黒田兄 50101001
投右 中橋 51200000
二遊 松岡 51301001
捕 竹 内 41000010
右 織 邊 20001010
投 黒田弟 21000001
遊二 青木 20000001
二 酒 澤 21200010
三 關 野 32100021
計 3891003275
〔二 中〕 打得安犠盗三四失
遊 池 田 32200031
三 高 原 52100013
捕 木 村 53100210
左 山 本 62301000
一 尾 崎 30100120
投 藤 井 40100010
中 奥 田 40200010
二 井 上 41000310
右 上 山 0000010
計 381011016114
△二壘打=山本、關野 △三壘打=松岡2 △本壘打=中橋
一回、育英、辰巳三振、加藤四球、黒田(兄)左飛、中橋中飛。
▲二中、池田二飛、高原二匍、木村三遊間を抜く安打に出で、山本遊撃を抜く安打で木村三進、山本二盗、尾崎三遊間安打で木村、山本生還、尾崎その間に二進、藤井、奥田共に四球で滿壘となったが井上三振で止む。
二回、育英、松岡中堅左へ三壘打を放ち出たが竹内捕飛、織邊三匍、青木二飛で止む。
▲二中、上山捕邪飛、池田左前テキサスに出で高原の三遊間の安打で二進、木村の遊匍失で滿壘、山本の左前安打で三者壘を進め池田還り、尾崎四球で高原還り、藤井一、二間安打で木村還り、奥田投手足下を抜く安打で山本還り、井上テキサス性中前飛球は辰巳の好走に捕へられ藤井併殺さる。
三回、育英、關野四球で出で辰巳の三壘前バントは内野安打となり關野二進、加藤三匍、三壘一壘へ暴投して滿壘、黒田(兄)の遊匍で關野生還、辰巳三進し加藤二封さる、中橋左翼右へ安打して辰巳還り黒田(兄)二進、松岡二飛で黒田併殺さる。
▲二中、上山、池田四球で出たが高原左飛、木村三振、山本中飛。
四回、育英、竹内遊飛、織邊三匍、青木三匍失に出たが關野投直。
▲二中、尾崎、藤井、奥田共に二匍。
五回、育英、辰巳三振、加藤遊匍、黒田(兄)三匍。
▲二中、井上三振、上山投匍、池田四球、高原三匍。
六回、育英、中橋三匍、松岡三壘強襲安打、直ちに二盗、竹内左飛、織邊四球、酒澤(青木の代打)左翼前安打で松岡一舉本壘を突きて殺さる。
▲二中、木村遊匍一壘失に出で山本の左翼頭上を抜く二壘打で三進、尾崎四球で滿壘、藤井二匍で木村生還、山本三進、尾崎二進、奥田遊飛、井上三振で止む。
七回、育英、關野四球、辰巳の三匍で二進、加藤の遊匍遊撃一壘へ高投で生還、加藤二進、黒田(兄)遊撃強襲安打で加藤三進、黒田二盗したが中橋投匍、松岡遊匍。
▲二中、上山右飛、池田二壘ベースの上を抜く安打に出で高原の投前バントを投手二壘へ暴投して池田生く(育英投黒田弟、右中橋となり織邊退く)木村ストレートの四球で滿壘、山本遊匍失で池田還り高原三進、木村二進、尾崎三振、藤井三匍三壘一壘へ悪投して高原還り木村本壘を突いて刺さる。
八回、育英、竹内、黒田(弟)共に遊匍、酒澤左前安打で出たが關野の遊匍で二封さる。
▲二中、奥田左翼テキサスに出で井上の四球で二進、上山の投匍で三封さる。池田四球で滿壘となり高原四球で井上押出され木村三振、山本の遊匍で高原二封。
九回、育英、辰巳遊匍、加藤四球、黒田(兄)中飛で二死、中橋中堅頭上を抜く本壘打で加藤生還、松岡左翼後方の三壘打を放ち竹内死球、黒田(弟)三匍失で松岡生還、竹内三進、黒田(弟)盗壘、酒澤四球で滿壘、關野左中間二壘打で竹内、黒田(弟)酒澤四球でかへり左翼捕手への返球する間に關野三壘を得んとして刺さる。
◎對扇町商業
好敵育英を蹴落して意氣頓に上れる我等ナインは藤井寺に遠征せり。相手は大阪球界に本年も依然強剛を誇る扇町。昨シーズン甲子園に於て撃破されし仇敵いで物見せて會稽の恥を雪がんとの決意固き我等に向ふ敵あらんや、いざ行かん、ナインよ、新興二中の名を天下に轟ろかさん。
この試合に關して各野球機關紙は二中二、三點の不利を報じたり、併し見よ、この輝かしき戰績を、嶄然たる二中のスピリットを。
昭和11年10月11日(日)藤井寺球場
開始午後零時35分=閉戰2時17分 審判(球)伊達(壘)久保田
扇町商業 000 000 000=0
神戸二中 001 100 00A=2
〔扇 町〕打得安犠盗三四残失
左 講 崎301012111
捕 大 角401000010
一 石 井301010110
遊 辰 巳401000000
中 熊 本401002010
三投長谷川302000120
二 岡 本400002010
右 昌 子300002000
投三 岡田300001001
計 3107029372
〔二 中〕打得安犠盗三四残失
遊 池 田402001020
三 高 原300100010
捕 木 村300010110
左 山 本300001110
一 尾 崎402000020
投 藤 井400001000
中 奥 田401000000
右 田 中310001000
二 上 山110000210
計 2925114480
△二壘打=尾崎
一回、扇町、講崎三振、大角三匍、石井右飛。
▲二中、池田投匍、高原投匍失、木村捕邪飛、山本四球で高原二進、尾崎一匍。
二回、扇町、辰巳二壘ベース上を抜く安打に出でしも二盗を失す、熊本三振、長谷川中前安打、岡本三匍。
▲二中、藤井一匍、奥田二匍、田中三振。
三回、扇町、昌子、岡田共に三振、講崎中前安打、大角遊飛。
▲二中、上山四球、池田投前バントは内野安打となり上山二進、高原の投前バントで上山三進、池田二進、投手の暴投で上山生還、池田三進、木村四球直ちに二盗、山本三振、尾崎三邪飛。
四回、扇町、石井四球、辰巳二飛で石井併殺、熊本左前安打、長谷川二飛。
▲二中、藤井三振、奥田三壘後へテキサス、田中の二匍で奥田二封、上山四球
で田中二進、池田三壘左を抜く安打で田中還り上山二進、高原左飛。
五回、扇町、岡本三振、昌子遊匍、岡田遊飛。
▲二中(扇町、投長谷川、三岡田となる)木村投飛、山本遊飛、尾崎左前安打、藤井遊匍。
六回、扇町、講崎四球直ちに盗壘、大角の三壘左を抜く安打で生還せんとして遊撃の好送球に刺さる。その間に大角二進、石井三壘左を抜く安打を放ち大角三進、石井二盗したが辰巳左直、熊本左飛。
▲二中、奥田二匍、田中投飛、上山投匍。
七回、扇町、長谷川三遊間安打で出たが、岡本の三匍に二封、昌子三振、岡田右飛。
▲二中、池田三振、高原投飛、木村遊匍。
八回、扇町、講崎三振、大角遊匍、石井三匍。
▲二中、山本三匍、尾崎左中間二壘打、藤井一匍で尾崎三進、奥田中飛。
九回、扇町、辰巳三匍、熊本三振、長谷川四球、岡本三振。
|