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〈毎日新聞〉

【第38回全国選抜野球大会】

昭和41年3月26日(土)甲子園

▽第2試合(1回戦)

高 知000 101 323=10

県兵庫010 000 000=1

評〕高知の活発な攻撃を、県兵庫が冷静な守りで防ぐという形でゲームはスタートした。先ず高知は一回、弘田が第一球を中堅左へ二塁打、二回には岡本が左翼越え二塁打を飛ばした。しかしこの先制機は弘田の本盗失敗や、県兵庫大野中堅手の正確なバックホームのために実らなかった。 

一方、県兵庫は高知北岡投手があまりにコーナーをねらいすぎてコントロールに苦しむスキを巧みについた。二回一死後、前畑が三塁内野安打に出ると志水、和佐はよく選んで四球を得て満塁とした。つづく武蔵は第一球を空振りしたが、このタマを西森捕手が後逸して、県兵庫に先取点がころがり込んだ。 

高知は三回からエース三宮をくり出して守りを固める一方、四回左中間三塁打の有沢が遊撃手の中継悪投に乗じて一挙生還、たちまち同点とした。左腕、勝投手のインカーブを十分にひきつけて打つ高知の打法は、いい当たりが三塁手や遊撃手の正面へ飛んで、県兵庫の計算にはまる場面があったが、バットが鋭く振れているだけに長打となる率も高い。 

後半にはいってからの高知は全く手のつけられないほどの猛打を発揮した。六回1−1から森沢の放った一撃は、ラッキーゾーンを越えてスタンドにつきささる逆転の大ホーマーとなった。 

さらに七回には三宮、西森の長短打に弘田のスクイズで2点を加えたあと、横田の左翼ホーマー。八回にも水元の2ランが左翼ラッキーゾーンへ飛び込んだ。高知の一試合一チーム3ホーマーはセンバツ新記録。また最終回には西森が22本目の安打を放って安打数の大会タイ記録と塁打数の新記録をたてるなど、記録づくめだった。 

県兵庫は最終回、代打森川が右中間二塁打したのが唯一の長打で、打力の差があまりにも大きかった。

 

《武陽通信》

【第38回全国選抜野球大会】 

〔評〕三回まで兵庫のペースで試合は進んだ。高知北岡投手の制球難につけ込み、巧みな攻撃で先制点をあげた。即ち二回一死後、前畑が三塁内野安打に出ると志水、和佐が四球を得、満塁となった。つづく武蔵は第一球を空振り、これを捕手が後逸して一点をあげた。 

高知は三回からエース三宮をくり出して守りを固め、四回から積極的な高知打線が勝投手の球をとらえた。肩の痛みをこらえて投げる勝投手には日ごろの球威なく、22安打、3本塁打を許し、健闘空しく敗退した。しかし不調ながらも一球々々をていねいに投げる勝投手(無四球)のプレートマナーは他の選手の試合を投げぬ真面目なプレーとともに甲子園ファンの称賛をあびた。 

また応援団もスタンドの後仕末を見事にやってここにも兵庫高校のマナーの見事さが翌日の神戸新聞に報道された。