観戦記 【元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
マウンドでエース徳の様子がおかしい。ストライクが全く入らないのだ。1−2で迎えた九回表だった。わずか1点差。この回を抑えれば、裏の攻撃に反撃の期待がもてる。それなのに最初の打者橘をストレートで歩かせた。続く宮辻にも0−2から暴投。審判はここで徳をいったんベンチに引き揚げさせた。
「熱中症ですわ」。試合後、渋川部長は打ち明けた。どうやら炎天下で体調を崩したようだ。約8分の中断ののち、徳はマウンドに戻ってきたが、本調子にはほど遠かった。宮辻を歩かせ、高瀬には遊撃内野安打されて無死満塁のピンチ。ここで長尾に左中間に痛恨の走者一掃の二塁打を打たれ勝負を決められた。
兵庫は三回、高橋の中前打を足場に、小谷の左前打と森下死球で一死満塁とし、松林の中前打で1点を先行。ただ、ホームを狙った二塁走者の小谷が中堅手・王の好返球に刺されたのが惜しまれる。
敵ながらあっぱれの王のプレーはそれだけではなかった。八回、一死二塁で松林の中堅後方の大飛球を好捕。抜けていれば同点、さらに逆転も望めるケースだっただけに兵庫ベンチとしてはため息をつくしかなかったろう。
スタンドには甲子園出場組の森滝、勝、武蔵らのOBが応援に陣取ったが、緒戦敗戦に無念の表情だった。
榮監督の話「勝ちたかったが、うまくいかなかった。残念だ。向こうの力が上だった」
佐藤主将の話「細かいミスが出て、それが失点に結びついたのは悔しい」
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