定期戦観戦記 【元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
「情けないです」。中井監督は開口一番、無念の胸の内を吐き出した。2−8のスコアは予想外の結果だろう。神戸高打線の積極打法に失点を重ねる投手陣。攻めても2点をとるのがやっとで、なんとも後味の悪さが残る試合となった。
五月晴れで汗ばむほどの陽気。スタンドには両校の生徒、ブラスバンドが陣取り、定期戦ならではの応援合戦が繰り広げられた。
そんな中での悔しい完敗。それにしても、エース中田亨の不調は深刻だ。3月の春季大会地区予選の弘陵戦では2回でなんと19失点。この日も6回投げて8失点と、さえないマウンドで「甘いコースにいってしまいました」と、悔しそうに唇をかんだ。
現在2年生の中田亨が1年生でデビューした時、さっそうとしたピッチングを披露した。誰もが「将来が楽しみ」と思った。ところが、成長の跡が全く見られず、期待はずれのピッチングが続いている。
このところ、公式戦で勝てない兵庫。チームを立て直すには、投手陣の整備が急務なのはいうまでもない。その意味では朗報もある。昨年の秋季大会で活躍しながら、ひじを痛めて戦列離脱している横野。そのカムバックが近づいている。
中田亨と同じ2年生。元大リーガー、野茂ばりのトルネード投法で相手打線を戸惑わせた。「あの子が帰ってきてくれたら投手陣はずいぶん心強いですよ」と中井監督は本音を漏らした。
その横野は背番号のないユニホームを着て、一般生徒とともにスタンドから声援を送っていた。「少しずつピッチング練習を始めています。6月になれば戦列に復帰できるのでは…」。カムバックのメドがついたせいか、表情は明るい。
横野が復帰すれば、中田亨へのいい刺激剤にもなるだろう。「とにかくチームは横野待ちです」と、中井監督は締めくくった。 |