定期戦観戦記 【元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
歓声、拍手、ブラスバンドの音色に柔らかい日差し。約100年の歴史を刻む伝統の定期戦が3年ぶりにプレーボールとなった。過去2年はいずれも非情な雨で中止。1、2年生はもとより、3年生にとっても今回が初めて踏む晴れ舞台なのだ。
兵庫の攻撃は、まるで過去2年のうっぷんを一気に晴らすかのようなすさまじさだった。神戸のマウンドはサイドハンドの松井。そのエース攻略へボール球をしっかりと見送り、好球を逃さず打つ冷静さと積極性があった。
1点の先行を許した2回裏だ。一死から合田が中前打したのがきっかけ。脇本四球のあと永山の二塁内野安打で満塁とすると、多田が左中間に逆転の二塁打。
勢いづく兵庫は、一死二、三塁でスクイズをはずされ二死となったが、尾下が右前に3点目の適時打。さらに木谷が中越えにランニングホーマーを放った。
「打った瞬間、センターに取られると思ったが、打球が風に乗って伸びてくれた。ホームを踏んだ時はとてもうれしかった」。殊勲の2ラン。主将としての重責を果たして木谷は白い歯をのぞかせた。
こうなれば試合は兵庫ペース。先発の森川が5回、2点目を許すと、6回元山、合田の長短打で、7回には中田亘の適時打でそれぞれ1点を追加。6回から登板の高山が9回3点目を献上したものの、3番手中田亨が最後を空振りの三振で締めた。
試合が終わるとグラウンドに兵庫高校の校歌が流れた。「♪
武陽が丘のあさみどり 白き雲湧くユーカリに…♪」応援の全生徒とともに、口ぐさむナインの表情は晴れやかだった。
中井監督の話「定期戦は、夏の大会と同じくらい重要。3年ぶりの試合に勝利することができてよかった。2回の5点がきいた。あれでナインは落ち着いてプレーができたと思う」
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