【昭和24年(1949)】

【第21回全国選抜野球大会】 

〈毎日新聞〉

昭和24年4月2日(土)甲子園 午後3時開始=4時57分終了

▽1回戦

桐蔭高001 000 002=3

県兵庫000 000 002=2

〔評〕A級同士の対戦であり投手戦であるが好試合であった。桐蔭西村君は本大会新記録の三振18個で、兵庫は全員三振している。桐蔭最初の一点は三回一番打者金丸のホームスチールでこれも大会の新記録である。この一点を守って西村の剛球は兵庫を続々三振にしていた。 

しかし兵庫の向井投手も軟投であったが、内外角をついて桐蔭を凡打にして背後の好守とともに立派であった。九回に一走者あるとき金丸は右翼手をワンバウンドで抜くホームランして二点を加えダメ押しをした。これに対し兵庫もその裏奮起し、四球四と一安打で二点をむくい、しかも二死満塁でっあたが、形勢逆転はならなかった。(小野三千麿)

神戸新聞〉

〔評〕三回二死後四球に出た金丸がけん制球を一塁手が失する間に一擧三進し、つづく打者井関の0−3のとき金丸のホームスティールあざやかにきまり、ここに桐蔭の先取が成った。 

しかもこの一点が最終回までの両軍唯一のものであったとすれば、九回金丸に不運なホームランを浴び、またたとえ三振18を喫したといえ四球と安打からしばしば走者を出し、九回裏二点を挽回するなど桐蔭に迫った兵庫の健闘は称すべきである。 

それにしても幾分四球禍はあったが怪腕西村の猛速球は内角に外角に、あるいは大きく割れてものの見事に兵庫の打線を封じたことはあっぱれであった。(米澤)