観戦記 【
元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
悔しさいっぱいの顔が並んだ。試合終了後の兵庫ベンチ。無理もない。必死の反撃もあと1点が届かず、惜敗したのだから…。うなだれるナインに中井監督は「お前たちは最後まで頑張った。胸を張って帰ろう」とねぎらった。
中止か、それとも決行か。雨模様のなか球場入りしたナインは、その決定が出るまで約2時間の待機を強いられた。なんともいやな時間。気持ちのコントロールに苦労したのは想像に難くない。
2日前に147球投げたエースの横野に代わって先発したのは左の中田。2回に先行を許したのは、予定より2時間遅れの開始が精神的に微妙に影響したのか。「そんなことはありません」と本人は否定したが、ぎこちないマウンドだったのは確かだ。
2回の失点は、守備には定評のある源のエラーがきっかけだった。無死から肥田の遊ゴロをファンブル。そこから柳学園打線にキバをむかれた。続く島田の右線二塁打で二、三塁とされ、一死後、菅、横山の短長打で3点を献上した。
「投手の足を引っぱって申し訳ない」と気落ちする源の横で、中田は「調子は悪くなかったが、あの回だけコースが甘くなった」と反省した。
5回まで柳学園の肥田に無安打に抑えられていた兵庫打線が意地を見せたのは6回。無死から岡庭がチーム初安打となる右前打を放った。送りバントの一死二塁から竹内が右前田。敵失にも恵まれ岡庭が生還した。さらに臼井、中田の連打で1点差に追いついた。
がぜん盛り上がる兵庫ベンチ。「さすがうちの打線だ」見事な集中打に中井監督は目を細めた。ただ一死一、二塁の同点機は後が続かずじまい。9回二死二塁も実らなかった。
それにしても惜しまれるのは1回の攻撃だ。2四球と野選でいきなり無死満塁のチャンス。ところが臼井以下3人が三振に倒れた。中井監督が「あそこで1点でも取っていたら、こちらのペースに持ち込めていたのに…」と悔やんだのも当然だろう。
敗戦後、球場外での恒例になっている反省会では悔し涙を流す選手が多かった。30分、1時間…。次第に表情は穏やかになった。そのうち、はしゃぎながら記念撮影。スポーツマンのさわやかさがそこにあった。
臼井主将の話「1回の満塁のチャンスで三振したのが一番悔しい。来年は後輩たちに二つ、三つ、勝ってほしい」
横野投手の話(5回から登板し無失点)「野手の好守備に助けられた。今日は1回戦より調子よかった」
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