観戦記【元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
いったい誰がこんな結末を予想しただろうか。凍りつく兵庫ベンチ。中井監督は悪夢を見ているような表情で、次々と快音を残して飛ぶ白球の行方を追った。いきなり爆発した神戸弘陵打線。「フリーバッティングでも、こんなに打てないだろうに…」。ネット裏からそんな声が聞かれるほどのすさまじさだった。
1回、先発の中田亨が先頭戸田に中前打されたのが大量失点のきっかけだった。バントで二進のあと、秀岡左前打、泉四球で一死満塁。ここで井上に走者一掃の中越え三塁打を許して一気に劣勢に立った。
ここで後続を抑えていれば、違った試合展開になっていたはずだ。ところが二死後、死球を与えると後藤に右前適時打され、阿部内野安打の満塁から再び戸田に走者一掃の二塁打を浴び、森本の二塁打でなんと8失点。
2回はもっと屈辱的だった。後藤の左越え2ランなど9安打、4四死球で打者14人の猛攻を受け、11点を献上する始末だ。
2回でなんと19失点。無残に打ちのめされた中田亨は呆然としていた。「こんなに打ち込まれたのは初めて。球はそこそこ走っていたと思うのですが、強力打線の相手には打ちごろの球だったのかもしれません」
女房役、捕手で主将の元山の口からは反省の言葉が飛び出した。「相手打線はみんな打ち気満々でした。まともに勝負せずに打ち気をはずすピッチングをさせていたら、違った結果が出ていたかもしれません。悔しいです」
もちろん中井監督にとっても予想外の試合展開だった。「先取点を取れば善戦できると思ったのですが…。投手陣に故障者が出ましてね。投手を代えようにも、こま不足で手の打ちようがなかったです」と苦しい台所事情を説明した。
打線も5回まで3安打と振るわず、一矢を報いることもできなかった。屈辱的ともいえる大敗。しかし、ナインは落ち込む必要はない。力の差を認めた上で、この敗戦をバネにして少しでも飛躍するように努力を続けることが大事だろう。 |