観戦記 【元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
悪夢は突然にやってきた。0−0で迎えた7回裏の守りだ。それまで先発の中田は六甲アイランド打線にわずか3安打。三塁を踏ませない力投を続けていた。内角いっぱいを突くストレーに球威と制球力があった。
対して六甲アイランドの先発春名はサイドハンド投法。兵庫打線はそのクセ球にタイミングをはずされ、てこずった。5回まで3回を除いて毎回走者を出したが、後続が抑えられゼロ行進が続いた。
この試合に勝てば久々に県大会への出場切符をものにすることができる。大事な一戦にプレッシャーがなかったとはいえないだろう。そのせいかナインの動きはちょっぴり硬い。そこへ強い風。緊張ムードのなか、行き詰まる投手戦が続いていた。
7回、中田のつまずきのきっかけは一死から松尾に許した左越え二塁打だった。打った瞬間、左飛かと思われたが、野手が背走にもたついで頭上を越された。「あれは捕球できる打球。きっちり取ってやらんとダメだ」と中井監督は手厳しい。
記録に現れない痛恨のミス。これで試合の流れはガラリと変わった。二死三塁と局面が変わったあと、マウンドの中田が制球を乱した。二者を連続歩かせて満塁。「最初の四球はともかく、次の打者にも四球を与えたのはまずかったです」と中田は反省した。
二死満塁のピンチ。最大の頑張りどころだ。ここさえしのげば勝機はやってくる。そんなベンチの期待は市道に打ち砕かれた。遊撃左への内野安打。当たりはよくなかったが、飛んだコースがよく、先制打となった。
この1失点だけで押えていたら、勝負はどうなっていたか分からない。ところが、中田は続く岩本、大針の連続適時打を浴び、あっという間に5失点。試合の決着をつけられた。中井監督は「中田はよく投げた」と評価しながらも「走者を背負うと四球を出して崩れる悪いくせが出た。その辺をぜひとも修正してほしい」と注文を出した。
目標の県大会出場の夢は破れた。臼井主将は「反省点はいろいろあります。中田が失点する前に打線が点を取れなかったのが悔しいです」と唇をかんだ。地区大会で戦った4試合。ここは久々のナインの健等を称えて、さらなる飛躍を期待しよう。
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