観戦記【元デイリースポーツ記者 武陽野球倶楽部 47陽会 浜田 直人】
惜しい1点差負け。中井監督は「勝ちたかった」とため息をついた。見事な終盤の追い上げもあと一歩のところで涙を飲んだ。ナインの顔に悔しさがにじんでいたのも当然だろう。
延長11回、137球を投げ中1日でのマウンド。エース隅谷に疲労はなかったといえばウソになるだろう。精彩のない立ち上がり。1回は4安打を集中され2点を失った。2回にも田中、南出に三塁打を許して2失点。
「疲れ?それは理由になりません。それより相手打線を意識しすぎました。思うような投球ができなかったです」。隅谷は唇をかんだ。
先制を許した兵庫はすぐさま反撃に転じた。1回は沖本、岩本の長短打などで一死満塁とし、隅谷がスクイズを成功。3回の一死二塁でも隅谷が右前適時打した。「投げる方がダメなら打撃で…」。意地の2打点といえるかもしれない。
兵庫の猛反撃は、5回に5点目を許し3点差を追う8回だった。それも二死走者なしからの攻撃だったから兵庫ベンチは沸き立った。藤井が四球を選ぶと、河内が右前打して一、三塁。ここで木谷が左線に二塁打を放って2者が生還、1点差に追いついた。
押せ押せムードの兵庫。このあと沖本一失、山下四球で満塁とチャンスを広げた。一本出れば逆転のケース。勝利の女神はしかし、兵庫に微笑まなかった。岩本が中飛に倒れて2点どまり。9回も一死から岡本に二塁打が出たが、あとが続かなかった。
悔しい敗戦のなかでキラリと光ったのが二番手山田の力投。6回から救援のマウンドに立ち、4回を無失点に抑えた。「今日は腕がよく振れました」と山田。中井監督も「彼の好投でゲームが作れた。収穫です」と目を細めた。
強豪相手に最後まで食い下がった粘り。善戦の二文字で片付けるには、あまりにも惜しい試合だが、この経験は今後の飛躍へ生かされるはずだ。 |