昭和12年(25陽会)1937年

NO1

《武 陽》
[縣下中等學校野球大會]

 昭和12年4月2日(金)明石公園球場
▽1回戰
 神戸二中 7−0 姫路中學


 昭和12年4月6日(火)明石公園球場
▽2回戰
 神戸二中 9−2 第一神港


 昭和12年4月7日(水)明石公園球場
▽準々決勝
 神戸二中 100 010 0=2
 甲陽中學 000 1000 A=10


◎對一中戰
 我等が先輩が勝つも泣き敗るも泣き血と涙の傳統を誇りし一二中定期戰が「學生野球の確立」の聲と共に復活の機運漸く熟し今や意義ある前哨戰が舉行される運びとなった。
 此の日や天晴れ氣麗かに天長の佳節を壽ぐ人、人、人の波、そして兩校應援団の渾然たる校歌部歌に我等が意氣は彌舉ったのである。

 昭和12年4月29日(木)審判・高田、高瀬
 神戸一中 000 100 000 00=1
 神戸二中 000 100 000 00=1

 (延長11回引分け)

 〔一 中〕 打得安犠盗三四失
 8  前  50101000
 3 池 田 40000110
 7 梅 原 40001000
 2 金 子 51100000
 4 山 口 50100000
 1 蔵 田 30100020
 5 井 上 20000101
 5  島  30000000
 6  森  40100010
 9 柴 垣 40100010
     計 391602251

 〔二 中〕 打得安犠盗三四失
 6 池 田 50000001
 5 高 原 50000001
 7 山 本 50200000
 2 木 村 41100000
 9 津 田 40000100
 3 尾 崎 30010101
 8 奥 田 40100100
 1 藤 井 30000010
 4 立 花 30000110
     計 361410423

一回(一中)前遊匍一壘失に生き二盗、池田の一匍で三進、梅原の三匍で本封、梅原二
      盗したが金子一直。
  (二中)山本の安打のみ。

二回(一中)三者凡退。
  (二中)津田、尾崎三振、奥田一壘内野安打、藤井中飛。

三回(一中)森三匍、柴垣四球、前三壘左を抜くも後援なし。
  (二中)三者凡退。

四回(一中)金子遊越二壘打、山口右翼二壘打に還り蔵田四球に出たが井上左飛、森の
      遊匍は蔵田と併殺。
  (二中)山本三壘強襲、三壘の悪投に二進、木村左前安打、津田投匍で山本本封、
      長崎、木村のスクイズなりて一點を返す。奥田二匍。

五回(一中)柴垣三壘内野安打、前遊匍失、池田三振、柴垣併殺、梅原三匍。
  (二中)立花四球に出たが後援なし。

六回(一中)一死後山口三匍失、蔵田中越二壘打と續いたが、山口は島の二匍で本封、
      森三匍。
  (二中)三者凡退。

七回(一中)二死後池田、梅原四球に出たが、金子投匍。
  (二中)無為。
八回(一中)一死後蔵田四球、島左飛、森二壘テキサス、柴垣左飛。
九回 十回兩軍無為。

十一回(一中)最後の攻撃に入り島遊飛、森四球に出たが、柴垣の中飛、奥田、山本に
       リレー、山本の好投に併殺。
  (二中)打陣一番から始まるも、池田遊匍、高原中飛、山本左飛に遂に引分く。

〔後記〕兩軍始めての應援に上り氣味にて調子で出ず。一人一中蔵田投手をして名を成さしむ。試合と前後を通じて應援團極めて厳粛に選手をして、遺憾なからしめしは偉なり。觀戰者亦二中精神の何物なるかを認識する所あらば又快ならずや。
 尚當日御聲援下さった、諸先生先輩始め應援團諸君に謹んで感謝を捧げます。

◎對灘中戰
 昭和12年5月?日 神戸二中
 開始午後2時 審判・山脇、矢野
  灘中學 100 000 000=1
 神戸二中 412 010 001=9


 〔灘 中〕 打得安犠盗三四失
 4 戸 田 31100111
 6 牲 川 40101101
 1 瀬 川 40101100
 3 若 林 40000003
 2 田 中 30000200
 5 沼 田 30000100
 7 岡 野 30100100
 9 吉 田 20000000
 9 河 村 10000000
 8 三 好 30000200
     計 301402915

 〔二 中〕 打得安犠盗三四失
 61 池 田 42100011
 5 高 原 40110000
 76 山 本 52301001
 2 木 村 52200000
 94 津 田 41100110
 3 尾 崎 50000100
 8 奥 田 40000000
 1 藤 井 21100010
 7 芝 山 10000000
 4 石 花 21100010
 9 枝 吉 10000000
     計 379911242

 △本壘打=戸田、山本、木村

一回(灘中)戸田左翼本壘打で一點先取。
  (二中)池田遊撃強襲、高原バント、山本三壘強襲で池田還り、木村遊越安打で還
      り、津田四球、奥田一匍失で木村、津田還る。

五回(二中)山本左中間に深く本壘打を放ち一點。
六回(二中)二死後藤井、立花、池田四球に出、高原の時捕手逸球で一點、高原三壘右
      を抜く安打で二點を舉ぐ。

九回(二中)木村左翼越本壘打で最後の止めを刺す。
七回より代った池田投手は五つの三振を取り堂々たる完勝であった。