〈神戸又新日報〉
[第8回扇港野球大會]
大正9年9月26日(日)東遊園地
午後2時開始 4時25分閉戰
(審判)川瀬(球)近藤(壘)
▽1回戰
神戸一中 200 200 000=4
神戸二中 011 000 000=2
〔二 中〕 打得安犠盗三四失 〔一 中〕 打得安犠盗三四失
數點打打壘振球策 數點打打壘振球策
遊 水 谷 40001112 遊 藤 尾 41100102
三 金 澤 51100101 三 下 里 41000100
投 松 浦 40010100 左 梅 田 40100000
捕 将 積 20000021 捕 石 關 41000000
一 井 垣 40100002 一 矢 野 40000100
二 野 澤 41102304 右 龍 田 41100000
右 梅 田 40100100 投 高 杉 40000100
左 花 房 30000010 二 坂 東 40000201
中 田 中 40000100 中 中 道 40000200
合計 3424138310 合計 364303803
△併殺=野澤、井垣(二) △後逸=将積△残壘=一中(5)二中(10)
△試合時間=2時間25分
〔評〕一中は1回先頭打者の藤尾が二ゴロ失で二壘を陥れたチャンスに下里の一壘ゴロ失とさらに二中の連續失策で藤尾、下里二者が生還して幸運なる2點を先行。
二中は2回安打、敵失、バントなどで1點を返しなお走者を三壘に置いたが田中バントを失敗、水谷中飛に倒れ同點機を逸す。3回金澤の遊撃内野安打、バントで二進、将積四球、井垣二壘内野安打の際敵失を誘い同點に持ち込んだ。
一氣に逆轉のチャンスだったが、後續二者が三振に倒れ、壘上に二者立ち往生。
一中は4回2點を擧げこれを守り切り決勝點とした。石關が二失、龍田一壘内野安打で好機を築き、バントと遊撃手の失策で2點を奪った。
二中の敗因は2、3回の追加點機を逃したことと10を數えた失策、守備の亂れにあった。
〔経過〕
△第一回。一中軍第一打者藤尾第一球を振り第二球二匍暴球に出でて二壘に進みし時、下里一匍失に生き、二壘に進まんとせし時二中軍狼狽して失策を續け藤尾、下里二者生還、續いて梅田右翼安打に出で石關二壘に直球を打ちしも美事野澤に捕はれ返すボールにて一壘の梅田も亦刺されダブルプレイとなり矢野二匍に死して止む。
二中軍第一打者木谷四球を利して出で投手の一壘暴球に二壘に進み金澤三振、松浦三振、木谷、又もや敵の隙を見て盗壘せしも将積遊匍に對して惜くも立往生となる。(一中二、二中零)
△第二回。一中軍、龍田遊匍、高杉二匍、坂東二匍、二中軍井垣一匍、野澤遊撃安打に出で、續く梅田遊失に生き、野澤盗壘、三壘に進むや花房のバント効を奏して野澤本壘に滑り込み、先づ一點を得れば梅田三壘に進む、されど責任打者田中バントを失して死し木谷中飛に倒れて二者立往生。(一中零、二中一)
△第三回。一中軍、中道三振、藤尾遊撃安打、下里二壘失策に出でしも梅田一匍に死し下里も亦二壘に刺されダブルプレーに止む。二中軍金澤遊撃安打に出で松浦の犠打に進壘、将積四球を利して出で井垣二壘に内野安打を飛ばし敵の失策に金澤生還。中垣、将積二三壘に進みしも野澤三振、梅田三振して惜しくも亦二者立往生に終る。(一中零、二中一)
△第四回。一中軍石關二失に出で矢野二壘飛球、龍田一壘の左を抜く内野安打に石關を三壘に送り高杉のバント効を奏して石關本壘に入り遊撃手の暴球に續いて矢野生還。高杉三壘に進みしも坂東、中道三振して止む。二中軍花房二匍、田中中飛、木谷遊失に生きしも金澤の遊直球美事捕はれる。(一中二、二中零)
△第五回。一中軍打順頗る好し、藤尾先づ左翼邪球に倒れ下里三振、梅田二匍暴球に生きて盗壘、石關二失に出で梅田三壘に入りしも矢野三振、二中軍松浦二壘失に生き盗壘して刺され将積四球、井垣二匍に出でしも将積二壘に殺され野澤三振して止む。(一中零、二中零)
△第六回。一中軍龍田遊匍、高杉二匍、坂東三振、二中軍梅田三匍、花房四球、田中三匍に生きしも花房二壘に刺され田中も亦盗壘して二壘に刺されて止む。(一中零、二中零)
△第七回。一中軍中道二匍、藤尾三振、下里二匍、二中軍木谷三振、金澤二飛、松浦投匍。(一中零、二中零)
△第八回。一中軍梅田遊飛、石關中飛失に出で矢野三飛、龍田遊飛、二中将積三遊間を抜く内野安打に出で井垣の絶好のバント効を奏して二者安全、野澤三振、将積盗壘して刺され梅田左翼安打に出でしも花房中飛に死して二中軍絶好のチャンスを逸す。(一中零、二中零)
△第九回。一中軍高杉三振、坂東遊匍、中道二匍、二中軍田中遊直球に死し木谷投直球の失策に出で續いて金澤遊匍に出でしも木谷二壘に刺され松浦遊匍に死して遂に四對二で二中敗る、時に午後四時廿五分。
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