大正5年(4陽会)1916年

NO5

第十回 大正五年十月二十二日
    自午前十時五分 至午前十時三十五分(第二本壘)審判 北澤正三
 一年三組(D)對一年四組(D)
 〔紅〕      〔白〕
 古賀湊次郎 P  繁村長孝
 田中忠雄  C  平野安太郎
 河合修次  TB 千種吉夫
 瀬尾忠雄  UB 森 政雄
 守本文生  VB 岡田一郎
 宮澤正雄  SS 西田武男
 阿江久夫  LF 志田一男
 岸谷鎭夫
 井上 延  CF 園田三郎
 中來田秀夫 
 山本良男  RF 向井正夫
 笠井一雄     平野貴石
 吉田榮二
      2得點3
      3回數3

第十回 大正五年十月二十二日
    自午前十時二十分 至午前十時四十五分(第一本壘)審判 睦好安夫
 一年一組(A)對一年二組(A)
 〔紅〕      〔白〕
 藤田 彪  P  合田 夷
 澤田英二  C  吉井 力
 足達幸俊  TB 上 龜吉
 渡海英一  UB 伊勢市太郎
 原川義夫  VB 青木武之助
 松浦一六  SS 門倉亮介
 中村雄二  LF 森 榮次
 高谷廣二  CF 高貫 鴻
 前田眞夫  RF 荻野彌壽夫
      1得點5
      4回數3

第十一回 大正五年十月二十二日
     自午前十一時五分 至午前十一時三十四分(第二本壘)審判 睦好
 一年三組(A)對一年四組(A)
 〔紅〕      〔白〕
 箕輪和助  P  渡邊大陸
 渡邊安次  C  臼井幸太郎
 平田重雄  TB 大矢秀雄
 村田市左衛門UB 三木文雄
 丹治幸雄  VB 竹内榮一
 名倉周雄  SS 友成英雄
 矢倉育太郎 LF 吉岡亮吉
 西尾 渡  CF 衣巻寅四郎
 三宅常夫  RF 武本 實
      1得點2
      3回數3

第十一回 大正五年十月二十二日
     自午前十時三十分 至午前十一時三分(第二本壘)審判 睦好
 一年一組(D)對一年二組(D)
 〔紅〕      〔白〕
 小倉正吾  P  赤尾政信
 松岡亮一  C  齋藤貞彦
 坂本五郎  TB 林 以美
 森本六兵衛 UB 山本繁長
 藤田恒男  VB 小曽根悦治
 三好輝知之助SS 寶積百々治
 中川長武  LF 平岡由榮
          鳥井郁之助
 井上 實  CF 井上幸雄
          松原
 石橋 博  RF 松岡信夫
 武田増夫     小泉義夫
          福島松太郎
    6+A得點2
      2回數3

第十二回 大正五年十月二十二日
     自午前十一時十分 至午前十一時三十分(第一本壘)審判 箸倉史樓、
     今村幡象
 三年級選手對二年級選手
 〔紅〕      〔白〕
 木村 保  P  三宅保男
 堀 雅之助 C  北澤正三
 長田松二  TB 有馬大五郎
 高橋舜一  UB 西村壽而三
 菊水壮三郎 VB 山脇繁夫
 楯谷龍一  SS 松尾亥一
 分銅昌雄  LF 株本 保
 瀧 太郎  CF ※島田 叡
 加茂正光  RF 田井 達
      0得點10
      1回數1

第十三回 大正五年十月二十二日
     自午後十二時二十分 至午後二時十五分(第一本壘)審判 北澤正三、
     楯谷龍一
 五年級選手對四年級選手
 〔紅〕      〔白〕
 今村幡象  P  兒島一士
 睦好安夫  C  橋本一男
 小野戌雄  TB 柴田主一
 大塚次郎  UB 山中秀太郎
 武岡四郎  VB 澤田俊三
 箸倉史樓  SS 木村 茂
 青木猷彦  LF 三浦節次
 瀧川清一  CF 加藤 章
 藤原英夫  RF 梅谷廣次
      3得點2
      7回數7

第十四回 大正五年十月二十二日
     自午後二時二十分 至午後三時二十四分(第一本壘)審判 睦好、楯谷
 一年一、二組選手對一年三、四組選手
 〔紅〕      〔白〕
 青木武之助 P  渡邊大陸
 吉井 力  C  臼井幸太郎
 藤田 彪  TB 平田重雄
 澤田英二  UB 渡邊安次
 合田 夷  VB 友成英雄
 門倉亮介  SS 箕輪和助
 足達幸俊  LF 大松梅太郎
 伊勢市太郎 CF 村田市左衛門
 松浦一六  RF 丹治貞雄
      4得點6+A
      4回數4

第十五回 大正五年十月二十二日
     自午後四時五分 至午後五時八分 審判 兒島一士、楯谷龍一
 五年級選手對三年級選手
 優勝試合
 〔紅〕     〔白〕
 松尾亥一 P  今村幡象
 北澤正三 C  睦好安夫
 有馬大五郎TB 小野戌雄
 西村壽而三UB 大塚次郎
 山脇繁夫 VB 武岡四郎
 三宅保男 SS 箸倉史樓
 株本 保 LF 青木猷彦
 ※島田 叡CF 瀧川清一
 田井 達 RF 藤原英夫
     0得點2
     5回數5

番外 大正五年十月二十二日
   自午後三時三十分 至午後四時(第一本壘)審判 栗田先生
 職員對一年三、四組選手
 〔紅〕      〔白〕
 小野先生 P  ※渡邊大陸
 片山先生 C  臼井幸太郎
 坂本先生 TB 平田重雄
 窪田先生 UB 渡邊安次
 佐々木先生VB 友成英雄
 遠藤先生 SS 箕輪和助
 三明先生 LF 大松梅太郎
 野崎先生 CF 村田市左衛門
 水谷先生 RF 丹次貞雄
     2得點3
     2回數2

◎對京都一中戰(YM生稿)
 十月三十一日、毎年催さるゝ京都第三高等學校野球大會に招かれて参加す。本校に於ては七、八年前一度彼の地に於て同大會に参加したる事あれど近時に到るまで差止められ居たるが茲に再び出征を許されたるは實に我部に取りてよろこばしき現象なり。天長の式後直に京都に赴き三高グランドに於て京一中と對戰しぬ。

 第一回、敵先攻、足立劈頭遊撃を衝きて其失に出でしも奥の飛球を右翼手失せしも直ちに二壘に投じて足立をフォースアウトし宮内の三壘ゴロを壘手の失する間に奥脱兎の如く本壘に驀進して生還し赤座Pゴロに斃れ谷三振して我軍攻む。箸倉劈頭遊撃を猛襲せしもならず岸本ファウルフライを一壘手に得られ睦好遊撃にゴロを呈して退く。

 第二回、古橋遊撃ゴロに倒れ瀧川一壘手にファウルフライを得られ鈴賀投手の失に出で福原投手ゴロに無為、我軍今村Pゴロに退き兒島四球に出でしも渡邊三振を喫し楯谷四球に走者一二壘に據りしも北澤二壘ゴロに殪れて無為。

 第三回、足立凡打し奥フライを右翼手に得られ續く宮内猛打して中堅を抜き一擧三壘によりしも赤座三振に屠られて成すなく我が三宅立つや劈頭三壘遊撃間を抜く痛快なる安打に出で續く箸倉四球を利し岸本の右翼飛球に一死となりしも睦好四球を得滿壘となり三宅捕手のパスボールに生還し今村遊撃を衝くに及び箸倉本壘に入り今村又一壘に生く。次なる兒島遊撃に犠牲打して睦好生還し渡邊四球に生きしも楯谷のPゴロに止む。

 第四回、敵の谷中堅に名をなさしめ古橋投手ゴロに斃れ瀧川三振して交代す。北澤遊撃の失に生き三宅ファウルを左翼手に得られしも箸倉一壘を投手の失に得岸本四球に浴して滿壘となり睦好立ちて遊撃を失せしめて北澤を生還せしめしも今村の遊撃強襲に箸倉本壘にフォースアウトされ次て岸本三壘に刺されて止む。

 第五回、鈴賀三壘手のエラーに出で福原の投手ゴロに二壘に送られ足立遊撃フライに倒れしも奥中堅越の三壘打を飛して鈴賀生還し宮内遊撃越の安打に出でゝ奥生還し赤座の投手ゴロに止む。今村遊撃を誤らせて出で渡邊の投手ゴロにフォースアウトされ楯谷右翼に飛球を呈し北澤四球を利せしも三宅三振して無為。

 第六回、谷先づ左翼手のエラーに生き古橋の三壘を衝くや壘手一壘に投ぜしも一壘手失し谷生還し古橋亦捕手のエラーに生還し瀧川投手の失に生き次ぎて二壘を盗み鈴賀の遊撃ゴロに送られ福原三振せしも足立の中堅飛球を中堅手失し瀧川生還し足立亦一擧本壘を衝かんとして刺さる。箸倉遊撃を強襲して効を奏せしも岸本三振し睦好三壘ゴロに退き今村三振して止む。

 第七回、奥軟打して一壘に生き宮内三壘手の失に出で赤座四球を得て滿壘となるや谷投手を衝きしも奥本壘にフォースアウトされ古橋の三壘ゴロを本壘に投ずるや捕手失して宮内を入れ瀧川遊撃を襲ひて赤座を入れ鈴賀投手を襲ひて谷生還し福原の遊撃フライに古橋ダブルプレーを演ぜられ我軍攻む。兒島四球に出でしも渡邊、楯谷共に中堅手に名をなさしめ兒島三壘盗壘を企てゝ成らず。

 第八回、足立三振し奥フライを遊撃手に得られ宮内二壘匍球に我軍攻撃す。一死の後三宅中堅手の失に出でしも箸倉の二壘ゴロに邀殺され岸本徒らに右翼手に名をなさしむ。

 第九回、赤座二壘ゴロに退き谷遊撃手の失に出で二壘を盗まんとして刺され、古橋三振して代る。我軍最後の攻撃に努めしも甲斐なく睦好三壘飛球に今村三壘ゴロに空しく兒島三振して萬事休し遂に九對四にて大敗しぬ。

大正5年10月31日(火)三高グラウンド
 京都一中 100 023 300=9
 神戸二中 003 010 000=4


       打安三四犠得
 〔京一中軍〕撃   牲 
       數打振球打點
 1 足 立 501000
 5  奥  510002
 2 宮 内 520001
 3 赤 座 401101
 6  谷  501002
 8 古 橋 501001
 4 瀧 川 401001
 9 鈴 賀 400001
 7 福 原 301010
    合計 4036119

 〔神二中軍〕
 4 箸 倉 400101
 5 岸 本 401100
 2 睦 好 400101
 1 今 村 501000
 8 兒 島 301200
 3 渡 邊 301100
 7 楯 谷 300100
 9 北 澤 301101
 6 三 宅 411001
    合計 3316804

〈神戸又新日報〉
〔第4回扇港野球大會〕
大正5年11月4日(土)鳴尾グラウンド 午後3時35分開始審判(球)松岡(壘)佐藤
 神戸一中000 000 0=0
 神戸二中000 000  =9

(9回裏、二中二、三壘の好機をつかんだとき一中の主将坂野、投手久保田の目悪く試合續行不可能なので二中主将にドロンゲームを交渉したが応じなかったため棄権、二中に勝ちを譲り審判9−0で二中の勝ちを宣した)

       打得安三四犠盗失
 〔二 中〕     死   
       撃點打振球打壘策
 4 箸 倉 30110000
 5 岸 本 30010000
 2 睦 好 30010010
 1 今 村 30020002
 8 兒 島 20000010
 9 北 澤 20000000
 3 渡 邊 00002001
 7 楯 谷 20020000
 6 三 谷 20100001
    合計 200272024

       打得安三四犠盗失
 〔一 中〕     死   
       撃點打振球打壘策
 6 坂 野 30010000
 4 岩 井 30120000
 1 久保田 30010001
 8 物 集 30010001
 9 石 本 30010000
 2 多 木 30110001
 3 來 田 20000000
 5 山 口 20000000
 7 橋 本 10010100
    合計 230280103

▽一回戰 坂野遊撃の失に生きしも二壘を盗まんとして刺さる、岩井巧妙なる内野安打して出でたるも久保田、物集續いて左翼に飛球を揚ぐ、二中代りて攻めしも三者三振を喫す(一中零、二中零)

▽二回戰 多木一死後二壘に安打して出で次いで投手の牽制球を一壘手後逸したれば一擧三壘に進みたるも來田の投手飛球に重殺を喫して止む、二中今村投手匍球に兒島遊撃飛球に北澤中堅に飛球して斃る(一中零、二中零)

▽三回戰 一中山口三壘匍球を壘手一壘に暴投し橋本投手前に犠牲球を放ち山口二壘に進みたるも坂野、岩井三振して止む、二中渡邊四球を利して出で楯谷三振、三宅中堅二壘打したるも離壘して刺さる、箸倉投手飛球に、渡邊本壘三壘間に挟撃されて惜しくも好機を逸したり(一中零、二中零)

▽四回戰 一中久保田二壘匍球に仆れ物集二壘飛球に、石本遊撃飛球を揚げて止む二中岸本、睦好共に二壘に匍球を呈して止む(一中零、二中零)

▽五回戰 兩軍攻守共に完備し試合益々佳境に入る、一中多木右翼に飛球を獲られ來田三壘匍球に斃れ山口二壘に匍球して止む、二中兒島遊撃を猛襲して出で直ちに二壘を盗み北澤三壘飛球に斃れ渡邊四球に出でたるも兒島三壘を盗まんとして刺殺さる、楯谷三振を喫す(一中零、二中零)

▽六回戰 暮色漸く迫り双方得點無く應援隊團の聲援凄まじく左しもに廣き運動場も為に揺がん許りなり、一中橋本三振の後坂野投手の失に生き二壘を盗み機を見て三壘をも得んとせしも後援岩井、久保田枕を並べて三振を喫し、一中又も好機を逸したり、二中三宅遊撃匍球に仆れたる後強打者箸倉2−3の次の球を狙ひ打に左翼遥か後方に三壘打して出で岸本投手に匍球したれば久保田片手に發止と受止め本壘に躍進せる箸倉を數尺の所にて刺殺し、更に捕手二壘に驀進せる岸本を二壘に送球し美事重殺を演じ一中應援團を狂喜せしむ(一中零、二中零)

▽七回戰 最後の回なり、一中物集、石本、多木の三者共續いて三振して止む、二中睦好の中堅飛球を物集ハンブルして一壘に生く、續く今村捕手の逸球に出で睦好、今村二者二三壘に入りしが最早一中主将坂野、投手久保田の目悪しく此侭試合續行不可能なるを以て二中主将にドロンゲームを交渉したるも應ぜず止む無く棄権し勝を二中に譲り審判員九對零にて二中の勝を宣す