◎對神戸一中(第二回戰)
大正五年十月十七日、我軍は一中より挑戰したれば快諾して武陽原に戰ふ。我が應援團は本壘より三壘の方向に陣し、敵の應援團は一壘側に陣す。午後三時十分戎、瀧川兩氏交審の下に火蓋を切る。
第一回、敵軍先攻し坂野中堅に安打して二壘を盗み岩井、物集の犠牲球にて本壘に入る。久保田三壘の失に一壘を得しも石本投手飛球に死して残壘。岸本二壘を襲て成らず、箸倉三振、睦好投手グラウンダーに死す。
第二回、山口、今村の熱球に屠られて三振し、永田右翼観覧席にファウルを打ちしを北澤ランニングキャッチにて好捕し來田凡打す。我軍代り攻め今村、兒島遊撃グラウンダーに斃れし後北澤死球に出でしも渡邊三振して空し。
第三回、兩軍無為。
第四回、物集、久保田本壘の露と消え石本三壘に小飛球を呈して止む。我軍一死の後睦好三壘の右を抜く安全打を放ち左翼の失に二壘を得。今村投手を猛襲して生き兒島三振の後北澤遊撃を過まらしめて睦好牙城に入る。渡邊中堅に大飛球を呈して今村、北澤残壘。
第五回、山口遊撃グラウンダーに死し永田二壘の失に出でしも二壘を盗まんとして睦好の投球正鵠にして二壘に憤死し來田左翼に打ちしも初陣の楯谷悠々として手中に入る。敵の凡死の後を受けたる我軍は投手久保田の弱勢に乗じて好打に次ぐ好打を以てし一擧五點を獲得して敵の顔色無からしめたり。
先づ楯谷遊撃を衝きて出で續く三宅の長棍一打は左翼の頭上高くオーバーして三壘打となり岸本四球を利し箸倉遊撃の失に生きて三宅本壘に入り、箸倉投手よりの牽制球に一壘に刺されし後睦好中堅に安打して岸本入壘す。
今村左翼に大飛球を呈して死せし後強打者兒島中堅左翼間の三壘打を戞飛し睦好悠々として生還し、兒島又捕手の逸球に本壘に入りしも北澤三振して止む。
第六回、橋本投手を襲ひて生きしも坂野一壘邪飛球に死し岩井三振し、續く物集投手グラウンダーに斃れて我軍代る。渡邊四球を利して出で二壘をを盗みしも續く三者悉く三振に屠られて残壘。
第七回、久保田本壘に立往生の後石本右翼に安全打を打ち山口の犠牲球に進みしが永田二壘直球に斃れて残壘となる。箸倉投手を衝き生しも二壘を奪はんとして刺され二死の後今村左翼に安打を飛ばせしが兒島二壘に直球を呈して残壘。
第八回、來田凡死し橋本、坂野共に二壘飛球に死す。北澤ナットアウトに生きて二壘を盗み、渡邊、楯谷三振の後三壘に進まんとして成らず。
第九回、敵軍最後の奮闘を期せしも今村に全く打撃を封ぜられ岩井、物集三振し久保田遊撃に飛球を呈して斃れ遂に一對六+Aを以て我軍は再び大勝したり。時に午後五時三十分にして應援團歡喜の聲は武陽原に轟きぬ。左に本日の成績を記せば。
大正5年10月17日(火)神戸二中 午後3時10分開始 5時30分終了 審判 戎、瀧川
神戸一中 100 000 000=1
神戸二中 000 150 00A=6
得打安三四補刺
〔二中軍〕 撃全 死殺殺
點數球振球數數
5 岸 本 1302101
4 箸 倉 0401003
2 睦 好 2421027
1 今 村 04100102
8 兒 島 1411001
9 北 澤 0302001
3 渡 邊 0302109
7 楯 谷 1402001
6 三 宅 1312021
合計 63251321426
〔一中軍〕
6 坂 野 1410020
4 岩 井 0302022
8 物 集 0302001
1 久保田 04020150
9 石 本 0310000
5 山 口 0201001
2 永 田 03000411
3 來 田 0300007
7 橋 本 0300002
合計 1282702324
[第九回野球大會]
大正五年十月十九日より二十二日まで第九回野球大會を開く、成績左の如し。
第一回 大正五年十月十九日
自午後二時三十分 至午後三時(第一本壘)審判 三宅、楯谷
二年級混合
〔白〕 〔紅〕
一柳信二 P 吉住藤雄
木佐貫平一 C 井上 茂
朝長仙一郎 TB 尾上清一郎
内海武尾 UB 豐田良次
山村眞三郎 VB 吉保秀文
竿田秀直 SS 石原健一
楠田佐太郎 LF 重成 哲
山中静雄 CF 藤浦貞治
寺田正之 RF 醉月英三
9得點3
3回數3
第二回 大正五年十月十九日
自午後三時 至午後四時(第一本壘)審判 三宅保男、北澤正三
二、四年級混合
〔白〕 〔紅〕
前田 昇 P 山下利義
川崎万喜蔵 C 津島悟巳郎
尾上清一郎 TB 福田 彰
鷲尾正保 UB 松田 陽
大能利光 VB 宮下一郎
飼手順一 SS 下村清蔵
山名貞則 LF 藤澤俊雄
柴田 稔 CF 山中静雄
井上 茂 RF 名倉隆吉
7得點2
5回數5
第三回 大正五年十月二十日
自午後二時十分 至午後三時三十分(第一本壘)審判 小野先生
四年(A)
〔白〕 〔紅〕
内海忠良 P 橋本一男
岸本胤夫 C 兒島一士
柴田主一 TB 梅谷廣次
有馬精之助 UB 澤田新蔵
森垣 峻 VB 木村 茂
佐伯彌三郎 SS 山中秀次郎
三浦節次 LF 山下利義
加藤 章 CF 前田 昇
川崎万喜蔵 RF 小倉次郎
7得點9
5回數5
第四回 大正五年十月二十日
自午後三時三十五分 至午後四時三十分(第一本壘)審判 今村、睦好
四、五年級混合
〔紅〕 〔白〕
岡田春之助 P 友成 治
下村新次郎 C 青木猷彦
廣瀬永造 TB 田中 稔
牧田英夫 UB 土田 實
堀川榮治 VB 近藤喜久雄
青木壮一郎 SS 大崎源三
平森文夫 LF 河野 清
岡田 茂 CF 渡邊知年
小原博一 RF 白石四郎
4得點11
4回數3
第五回 大正五年十月二十一日
自午後十二時四十分 至午後一時五十分(第一本壘)審判小野先生、三明先生
二年(A)
〔白〕 〔紅〕
菊水荘三郎 P 山本太郎
長田松二 C 森本芳雄
楯谷龍一 TB 木村 保
小林勇二 UB 岸本武雄
宮田義治 VB 堀 雅之助
分銅昌雄 SS 高橋舜一
加茂正光 LF 瀧 太郎
宮下豐太郎 CF 瀧山 巌
松浦 卓 RF 横山蓉次郎
3得點2
6回數6
第六回 大正五年十月二十一日
自午後二時 至午後三時三十分(第一本壘)審判 今村、箸倉
三年
〔白〕 〔紅〕
田井 達 P 重成 格
有馬大五郎 C 北澤正三
※島田 叡 TB 株本 保
粟津嘉一 UB 松本為一郎
西村壽而三 VB 山脇繁夫
三宅保男 SS 松尾亥一
桧垣秀夫 LF 小瀧久雄
清水 正 CF 下村榮一
加納丑郎 RF 丸茂 喬
4得點10
3回數3
第七回 大正五年十月二十一日
自午後二時五十二分 至午後五時(第一本壘)審判 岸本、北澤
五年(A)
〔白〕 〔紅〕
古家 新 P 大塚次郎
谷口廣次 C 橘 重雄
今村幡象 TB 箸倉史樓
横川豐治 UB 和田茂義
小野戌雄 VB 睦好安夫
藤原英夫 SS 瀧川清一
森本良三 LF 武岡四郎
山田晋二 CF 堀川榮治
白石四郎 RF 大崎源三
6得點2
8回數8
第八回 大正五年十月二十二日
自午前八時四十五分 至午前九時十五分(第二本壘)審判 楯谷龍一
一年三組(C)對一年四組(C)
〔紅〕 〔白〕
高橋新一 P 吉川五郎
山田昌次郎 C 下村正男
藤井五郎 TB 中村一男
杉村 伸 UB 有利秀一
松本又一 VB 井上良一
國本浩四郎 SS 尾崎來七
岡村重雄 LF 大原俊三
目良 篤 小鹽濱次郎
佐々木大策 CF 近藤三郎
宇府谷教潤 村山初盛
平尾一郎 RF 中川辰巳
坂口于雄
7得點3
3回數3
第八回 大正五年十月二十二日
自午前八時四十分 至午前九時十七分(第一本壘)審判 北澤正三
一年一組(C)對一年二組(C)
〔紅〕 〔白〕
木村夏夫 P 上田直周
津田文平 C 浅見一夫
森 唯雄 TB 柏原喜蔵
伊藤信一郎 UB 岡本平一
成松憲道 VB 山田直二
有澤和夫 SS 藤井秀文
近藤祐一 LF 河野 晋
武貞彦一郎
藤井友一郎 CF 加藤正英
稻村立男 RF 高榮一二
寺戸量輔
5得點7
2回數2
第九回 大正五年十月二十二日
自午前九時二十分 至午前十時十五分(第一本壘)審判 今村
一年一組(B)對一年二組(B)
〔紅〕 〔白〕
廣瀬 操 P 荒木直一
宮本秀次郎 C 前田眞夫
福島富蔵 TB 丸岡輝次
角田市朗 UB 石原次郎
佐野勝美 VB 眞鍋三郎
臼井隆亮 SS 奥田 譲
狩谷 登 LF 川崎 操
山戸與一
玉木榮一 CF 名倉義雄
勢 新次郎 河井宇一郎
片山孝寛 RF 谷田英一
柴田敬十
7得點6
6回數6
第九回 大正五年十月二十二日
自午前九時二十五分 至午前十時五分(第二本壘)審判 三宅保夫
一年三組(B)對一年四組(B)
〔紅〕 〔白〕
山本忠一 P 田中精一
三宅常夫 C 加堂定一
西尾 渡 TB 田井 有
太田信義 UB 澤田亮三
岡 竹一 VB 小笠原 壽
立田武男 SS 遠藤英磨
垂井 徹 LF 樋口 要
田原次郎 楠本龍太郎
和住吉一 CF 井田義任
安田半次郎
林 禎次郎 RF 松本吉一
神月圭三 走尾一三
9得點2
3回數3
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