大正15年(14陽会)1926年

NO5

《武 陽》
◎第2回戰對瀧川中學
 大正15年8月4日(水)甲子園
▽3回戰
 瀧川中學 000 001 020=3
 神戸二中 000 312 11A=8

第一回、第二回、第三回、兩軍投手戰酣にして試合白熱す。
第四回、瀧中凡退の後を受け、我が軍奮然として立つ、先づ矢麥四球を選んで出ずるや酒井左飛失に續き吉本又犠打に出で矢麥生還、橋爪三振、田中のバントに酒井生還、投手三壘暴投に又一點計三點を入る。
第五回、瀧中三者凡退。二中、一死後澤野左前直球安打、左翼手失する間一擧に生還一點を加ふ。
第六回、瀧中、猪熊、高内安打に出で松井の遊匍に高内封殺、島本の遊匍一失に一點を入る。二中、四死球と敵失に又二點を加ふ。
第七回、瀧中、相變らず振はず。二中、澤野劈頭ニヤハイの直球を一戞左翼越の本壘打を放ちて勇躍生還、なほ敵失と四死球に滿壘となりしが點とならず。
第八回、瀧中、高内四球、松井の死後島本右前安打、佐久間の死後廣澤二遊間安打に二點を回復せしも大勢に影響なし、二中一死後大橋中飛失に出で二捕逸に又一點。
第九回、瀧中凡退、遂に戰前の豫測を裏切って八A對三にて大勝す。

〈朝日新聞〉
 大正15年8月4日(水)甲子園
 午前8時15分開始 10時45分閉戰 審判・(球審)加藤(壘審)高原
▽3回戰
 瀧川中學 000 001 020=3
 神戸二中 000 312 11X=8


 〔瀧川中學〕     〔神戸二中〕
 中 猪 熊 33打數28 一 眞 鍋
 遊 高 内 4安打3 遊 矢 麥
 捕 松 井 8三振7 中 酒 井
 投 島 本 5四死5 右 吉 本
 左 佐久間 0犠打4 投 橋 爪
 二 廣 澤 4盗壘1 捕 田 中
 右 佐 藤 7失策2 二 池 田
 一 竹 内 0本打1 左 大 橋
 三 吉 田      三 澤 野

瀧中一分の勝味があり好試合を演ずるかと思はしたが案外−。島本の出来トテも悪るく對甲陽戰の面影なく守備また悪く二中のためにさんざんの目に會はされたのは惨。

▲第一回。瀧中=四球の得たのみ。
▽二中=眞鍋一越安打に出たのみ。

▲第二回。兩軍三者凡退。
▲第三回。また兩軍三者凡退いて投手戰酣なり。

▲第四回。瀧中一失に出たが…。
▽二中=矢麥四球を選んで出るや酒井左飛失、吉本また犠打に生き矢麥生還。橋爪三振、田中のバントに還り投手三壘暴投にまた一點、早くも三點を奪って二中意氣昂る。

▲第五回。瀧中三者死んで振はず。
▽二中=一死後澤野左前安打の左失に一擧還り…。

▲第六回。瀧中猪熊三側安打、高内一側安打、松井の遊匍に高内封殺されたがチャンスめぐり來て島本の遊匍一失に先づ一點を酬ひたが橋爪の好投にものにならず。
▽二中=四死球と敵失にまたも二點。

▲第七回。瀧中相變わらず振はず。
▽二中=澤野劈頭ニヤーハイ(内角高目)の緩球を一戞本壘打、なほ敵失と四死球に滿壘としたが點とならず。

▲第八回。瀧中=高内四球、松井左飛後島本右前安打、佐久間死んで廣澤二遊安打に二點を回復したが大勢に影響なし。
▽二中=一死後大橋中飛失に二捕逸で一點。

第九回。瀧中最後の頑張りもきかず竹内四球に出たのみ。二中八對三で大勝す。