大正13年(12陽会)1924年

NO4

(朝日新聞)
 大正13年8月4日(月)鳴尾球場
 午後3時開始 5時15分閉戰 (審判)球審・西村 壘審・川島

▽3回戰
 姫路中學 100 000 000=1
 神戸二中 000 000 101=2


 〔姫路中學〕   〔神戸二中〕
 左 有 坂    二 酒 井
 二 佐 伯    三 西 村
 一 五百旗頭   中 尾 西
 三 永 井    捕 東 田
 投 黒 田    投 三 輪
 捕 鈴 木    左  市 
 右 中 谷    一 石 橋
 遊 船 坂    遊 橋 爪
 中 梶 原    右 中 野

 失盗犠四三打安  失盗犠四三打安
 策壘打死振數打  策壘打死振數打
 31016532  34246630

第一回。姫中=有坂一壘匍に斃れ佐伯三振したが五百旗四球を利して出で永井の右二壘打に生還。姫中先づ氣を吐く。黒田中飛に止む。
△二中=酒井三振、西村三直球に死せしが尾西左中間に二壘打して進み東田死球に出でしも三輪の三振に好機を逸す。(姫中一、二中零)

第二回。姫中=二死後船坂遊失に生き二盗に成功せしも梶原の三振に為すなし。
△二中=一死後石橋死球に出で橋爪四球に續き中野の三匍に石橋フォースアウトさる、酒井三振して万事休す。(兩軍零)

第三回。姫中=有坂左中間の二壘打に出でしも後援續かず。
△二中=西村二越安打に出でしも尾西右飛に死し東田の二直球に打者走者併殺を喰ふ。(兩軍零)

第四回。姫中=永井三匍一失に生き黒田の中飛後鈴木遊匍に永井詰殺されしも一壘への暴投に二壘を盗みしも中谷の右飛に止む。
△二中=一死後市二失に生き二壘を盗みしも後援更に續かず。(兩軍零)

第五回。姫中=三者凡退。
△二中=二死後西村四球に出でしも尾西の三匍に終る。(兩軍零)

第六回。姫中無為。
△二中=東田劈頭右越二壘打に出で三輪の犠打に進壘、好機來る。市遊飛、石橋三飛に遂に點を為さず。(兩軍零)

第七回。姫中=黒田中前安打に出で一死後中谷の遊匍に詰殺されしも一壘への暴投に中谷進壘、船坂ファウルを得られて好機來らず。
△二中=橋爪二失に生き中野の犠打に進壘、酒井の左飛失二壘打となり橋爪生還。貴重な一點を取戻し同點となる。(姫中零、二中一)

第八回。兩軍凡退。

第九回。姫中=最後の攻撃に移り二死後黒田遊左に安打せしも後打續かず。
△二中=是に代り打ち一死後橋爪三、左を抜く安打に出で盗壘に功を成したが中野三振後酒井遊三間に安打し走者一、三壘に據る。酒井二壘に進む、西村最後に猛匍を送り二壘手之を逸し橋爪生還。二A對一にて姫中遂に恨み呑んで退く。閉戰五時十五分。

《武 陽》
 大正13年8月5日(火)鳴尾
 甲陽中學と組み四對二を以て惜しくも敗る。
 午後三時十分、西村(球)安江、寺戸(壘)三氏審判の下に甲陽先攻にて戰端を開 
 く。
 第一回。甲陽=足立二遊間安打に出で上田の一匍に二進し田中(猛)の遊匍に三進せしも芝右飛に退く。
△二中=酒井一邪飛、西村、尾西三振に退く。(兩軍○)

 第二回。甲陽=井山右飛に田中(廣)鈴木二者三振に退く。
△二中=東田左前安打に出で投手の牽制球一壘失に二進し投手暴投に三進し三輪の二遊間安打に生還す、市の犠打に三輪二進し投手牽制球を二壘に暴投し三進し中堅手の三壘に投ぜし球を壘手失しその隙に還る、石場三振、橋爪も三振に退く。(甲陽○、二中二)

 第三回。甲陽=萩野四球に出でしも弘世三振、足立左飛、上田三振に退く。
△二中=中野遊匍一壘悪投に出で酒井の三振後西村四球に出で走者一二壘に據りしが尾西の投直を投手落せしも中野三壘に封殺さる、東田右飛に無為。(兩軍○)

 第四回。田中(猛)三振後芝一二壘間安打に出で續く井山の右中間三壘打に生還す、田中(廣)二飛、鈴木二匍に止む。
△二中=三輪中飛後市右飛失に二壘に據りしが石場遊匍、橋爪三振に點をなさず。(甲陽一、二中○)

 第五回。甲陽=萩野二匍、弘世三振後足立三匍安打となりしが二盗を企でゝ東田の好投に刺さる。
△二中=中野、酒井、西村三者三振す。(兩軍○)

 第六回。甲陽=上田一匍、田中(猛)左飛、芝二匍に三者凡退。
△二中=尾西、東田三振後三輪四球に出で續く市の右翼左のライナーアワヤ三壘打と思はれしに井山巧みに後退してシングルにて掴む、敵ながら美技なり。(兩軍○)

 第七回。甲陽=井山投匍後田中(廣)左中間にライナーを戞飛ばし安打と思はれしが尾西好く走りてシングルにて掌中す、鈴木右中間安打に出でしが萩野遊飛に退く。
△二中=石場一匍失に出でしが續く橋爪のバント投飛となり石場一壘に併殺さる。中野投匍に止む。(兩軍○)

 第八回。甲陽=弘世投匍、足立投飛、上田一匍に三者凡退。
△二中=酒井、西村三振、尾西三飛。(兩軍○)

 第九回。甲陽=田中(猛)中飛後芝二遊間安打に出で續く井山の三遊間安打に二進し田中(廣)の右前安打に生還す、而して走者一三壘に據る、鈴木の遊直を橋爪掴みながら何事ぞぽろりと落し井山生還す、續く萩野の遊匍を橋爪又も失して田中還り弘世の投匍に止めど一擧三點を得られ形勢逆轉す。

△二中=恢復せんと決眦して起ち東田左越二壘打に出で市の二直後三輪遊匍失に出で走者二三壘に據りしも石場、橋爪三振して萬事休す。噫二中軍又起つ能はず四對二を以て遂に敗れぬ。時に六時。

▽準決勝戰
 甲陽中學 000 100 003=4
 神戸二中 020 000 000=2


       打得安犠盗三四失残
 (甲 陽)       死
       數點打打壘振球策壘
 6 足 立 402000021
 8 上 田 400001000
 5 田中猛 400001010
 2  芝  422000000
 9 井 山 412000011
 3 田中廣 411001020
 1 鈴 木 401001021
 4 萩 野 300011102
 7 弘 世 400000000
       3548015185

       打得安犠盗三四失残
 〔二 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 4 酒 井 400003000
 5 西 村 300003101
 8 尾 西 400002001
 2 東 田 412001001
 1 三 輪 311000101
 7  市  300000002
 3 石 場 400002000
 6 橋 爪 400002020
 9 中 野 300001000
       32231014226

〈朝日新聞〉
 大正13年8月5日(火)鳴尾球場
 午後3時10分開始 6時15分終了 (審判)球審・西村 壘審・寺戸、安江
▽準決勝
 甲陽中學 000 100 003=4
 神戸二中 020 000 000=2


 〔二 中〕      〔甲 陽〕
 4 酒 井      6 足 立
 5 西 村      8 上 田
 8 尾 西      5 田 中
 2 本 田      2  芝 
 1 三 輪      9 井 山
 7  市       3 田 中
 3 石 場      1 鈴 木
 6 橋 爪      4 萩 野
 9 中 野      7 弘 世

 打安三犠盗失四    打安三犠盗失四
 數打振打壘策死    數打振打壘策死
 324151112    35860171

第一回。甲陽=足立劈頭遊二間に安打して出で上田の一匍、田中の遊匍に三壘へ進みしも芝の右飛に點を為さず。
▲二中=酒井ファウルを得られ西村、尾西三振。(兩軍零)

第二回。甲陽=井山右飛、田中、鈴木三振。
▲二中=東田遊越安打を放ち投手の悪投に三壘に進み三輪の安打に入本、最初の一點を入る。市の犠打に走者二壘に進む、石場三振後投手の暴投に一擧本壘を突き應援熱狂す。(甲陽零、二中二)

第三回。甲陽=萩野四球を利して出で二盗せしが後援續かず。
▲二中=中野遊失に生き酒井三振後西田四球に出で東田の投匍に中野詰殺され三輪の右飛に點を為さず。(兩軍零)

第四回。甲陽=一死後芝一、二間に安打し續く井山中右間に痛烈なる三壘打を戞飛ばして一點を回復す。未だ一死なりしも後援續かず。
▲二中=一死後市右飛失に二壘に生き石場の遊匍に三壘に據る。橋爪三振して好機逸す。(甲陽一、二中零)

第五回。甲陽=二死後足立三匍安打に出でしも盗壘を企て二壘に刺さる。
▲二中=三者三振。(兩軍零)

第六回。甲陽=三者凡退。
▲二中=二者三振後三輪四球に出で續く市右へ好打せしが井山よく捕へて止む。(兩軍零)

第七回。甲陽=井山投匍、田中(廣)中飛に斃れし後鈴木右飛に生きしも後援續かずラッキーの七回空しく行く。
▲二中=石場一、二間安打に出でしも橋爪のバント投手に得られて走者併殺を喰ふ、中野凡退。(兩軍零)

第八回。兩軍無為。

第九回。斯くて甲陽軍最後の猛襲に移る。田中中飛を得られしも芝二遊間に安打して出で續く井山遊三間に安打を放ち走者一、二壘に據る。田中三度安打を放ちて芝を入れ同點となる。觀衆總立ちとなって感激の極に達す。

 走者一、二壘にあり未だ一死のみ、鈴木遊撃ライナーのミスに一壘に死せしも其間井山生還一點を勝越す。萩野再び遊失に生き田中(廣)生還、弘世の投匍に止みしも二點を勝越して勝色見ゆ。

▲二中=掉尾の攻撃に移る。東田先づ左越の二壘打に氣を吐き三輪二壘直球に斃れしも市の遊失に三壘を得、市二壘に進む、未だ一死、勝敗逆賭し難きものがあったが石場、橋爪共に三振して萬事休す。(甲陽三、二中零)
遂に四對二にて二中軍諦められぬ勝を譲りて退く。時に六時十五分、終りに甲陽軍芝君の抜群の技を特記す。

《武 陽》
◎對姫路中學秋季定期戰 
大正13年10月12日(日)神戸二中
 十月十二日本校校庭に於て午後二時二十分、今北(球)稻田(壘)兩氏審判の下に姫
 中先攻にて開始す。

 神戸二中 24−2 姫路中學

       打得安犠盗三四失残
 〔姫 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 2 鈴 木 401000012
 4 佐 伯 400000000
 87 黒 田 402000001
 5 永 井 400001020
 18 梶 原 400001000
 6 船 坂 400001011
 93 中 谷 401001020
 3 三 浦 200000011
 1 水 田 100000010
 79 信 澤 321001010
       3425005095

       打得安犠盗三四失残
 〔二 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 8 尾 西 432011300
 4 酒 井 644012120
 2 東 田 533110121
 1 三 輪 313110213
 7 中 野 421010202
 5 橋 爪 442020202
 3 石 場 532030101
 9 吉 本 520023100
 6 西 村 521021120
       41241821471479

 △三壘打=尾西、酒井(2) △併殺=(橋爪、石場)(酒井、西村、石場)
 △試合時間=2時間20分。