大正13年(12陽会)1924年

NO2

 ▽準決勝
 瀧川中學 000 000 0=0
 神戸二中 301 200 1=7

 (7回コールドゲーム)

       打得安犠盗三四失残
 〔瀧 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 4 別 所 302010001
 6 岡 本 301001030
 2 松 井 301020002
 7 島 本 300000000
 9 中 島 100010000
 1 大 泉 200000001
 8 田 代 200000101
 3 名 村 300002021
 5 平 尾 300001010
 19 今 井 300002000
       2604046166

       打得安犠盗三四失残
 〔二 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 5  市  522001001
 4 酒 井 321020222
 3 尾 西 412010103
 1 三 輪 300000100
 9 東 田 101020304
 7 中 野 400001001
 6 西 村 300021111
 2 田 中 300002100
 3 石 場 321010101
       297708510313

〈神戸新聞〉
 大正13年5月10日(土)神戸・大手山下グラウンド
 午後3時30分=5時30分 審判・木村(球)川島(壘)
▽準決勝
 瀧川中學 000 000 0=0
 神戸二中 301 200 1=7

 (7回コールドゲーム)

 〔瀧川中學〕        〔神戸二中〕
 4 別 所         5  市 
 6 岡 本         4 酒 井
 2 松 井         8 尾 西
 7 島 本         1 三 輪
 9 中 島         9 東 田
 1 大 泉         7 中 野
 8 田 代         6 西 村
 3 名 村         2 田 中
 5 平 尾         3 石 場
 19 今 井

 打安犠盗三四失       打安犠三盗四失
 數打打壘振球策       數打打振壘球策
 26404614       298065103

 △三壘打=市 △二壘打=石場 △併殺=(三輪、西村)岡本 △捕逸=田中
 △残壘=瀧中6、二中13 △試合時間=2時間

☆妙技に敵軍を封じつゝ 二中軍善戰して捷つ☆
第一回。瀧中=別所遊匍に死し續く岡本一壘越の安打に出たが松井の投匍に併殺を喫す。
△二中=市觀衆中に深く三壘打を戞飛ばして出で酒井四球續いて二盗に走者三、二壘に據る時尾西の右前安打に市生還。三輪の遊匍一壘低投に酒井、尾西生還して先づ三點を得て尚無死を續けて居たが東田四球の後中野の直球を岡本好く捕へ自ら二壘に三輪を併殺すれば觀衆拍手して止まず。西村遊匍に退く。(瀧中零、二中三)

第二回。瀧中=島本二匍、中島中飛、田代左飛に凡退。
△二中=田中三振、石場遊匍、市三振。(兩軍零)

第三回。瀧中=名村三振、平尾左飛、今井一飛に二中軍の守備堅し。
△二中=酒井四球、尾西二遊間安打に走者一、二壘に據り三輪遊飛の後東田の右前安打に酒井生還、中野遊匍に止む。(瀧中零、二中一)

第四回。瀧中=別所遊三間安打に出たが離壘して刺され岡本右飛の後松井二匍失に出で二盗したが島本の投匍に惜しくも退く。
△二中=田中遊匍の後石場左翼越の二壘打を戞飛し市の遊匍失に三進し市の盗壘を防せがんとして一壘手の二壘に悪投する間に生還。酒井の中前安打に市又生還。尾西遊飛の後三輪死球、東田四球に滿壘の好機を作ったが中野の二匍に三輪封殺されて止む。(瀧中零、二中二)

第五回。瀧中=大泉二匍、田代投匍の後名村二匍失に出たが平尾の直球を三輪よく捕へて守備益堅し。
△二中=西村死球に出で田中三振の後二盗、石場四球の後共に盗壘して走者三二に據ったが市一邪飛、酒井右翼に無為。(兩軍零)

第六回。瀧中=今井三振の後別所遊二間安打に出で二盗、岡本三振續く松井の遊三間安打に三進、松井又二盗して走者三、二壘に據ったが島本の一匍に好機を逸す。
△二中=尾西四球、三輪中飛、東田四球に出で共に盗壘し走者三二壘に據ったが中野、西村共に三振して惜しくも退く。(兩軍零)

第七回。瀧中=大泉遊匍一壘高投に出で二盗、田代四球の後捕逸に兩者進壘して三、二壘に據りしかも無死なる故この時點をなさずば再び好機來らずと瀧中軍決眦して起ったが打順悪るく名村、平尾、今井の三者三輪投手の魔球に悩まされて共に三振し振はざること甚し。
△二中=田中四球に出で石場の遊撃右を抜く安打に一擧三壘に據らんとして刺されたが市中前安打、酒井遊匍失に滿壘の好機を作り尾西の三匍に石場生還して敵に止めを刺し結局七對零のコールドゲームで二中軍の大勝に帰した。閉戰五時半。

《武 陽》
▽優勝戰
 大正13年5月11日(日)山下グラウンド
 神港商業と神戸側の覇を争ふ遂に成らず
 午後一時十分岡田(球)松原中西(壘)三氏審判の下に開始す、神港先攻。

〔第一回〕神港=桝本三振、泉谷二匍失に出でしが三谷の遊匍に封殺され山下の中堅飛球に止む。
△二中=市三振、酒井左前安打に出で尾西の中飛後東田の左飛を野平失する間に一擧三壘に至らんとして刺さる。(兩軍○)

〔第二回〕町田遊撃内野安打、丸泉右前安打に共に出でしも片山の捕前バントに町田三壘に封殺され久保の右飛後小柴四球に滿壘になりしが桝本投匍に止む。
△二中=三輪遊匍失に出でたが續く中野、吉本、西村三者枕をならべて三振す。(兩軍○)

〔第三回〕神港=泉谷右中間に三壘打を飛ばし三谷の右翼犠打に生還、山下三振、町田中飛に止む。
△二中=石場投匍、市三振、酒井二直に為すなし。(神港一、二中○)

〔第四回〕神港=丸泉遊匍一壘低投に一擧二壘に據り片山の投犠前打に三進し後離壘して挟まれたが三壘市失しゝため還る、久保の遊匍を西村又も一壘に悪投し續く小柴三振後桝本の安打性の遊匍を西村好く捕へ久保を二壘に封殺す。
△二中=尾西一匍、東田二匍、三輪三匍に退く。(神港一、二中○)

〔第五回〕神港=泉谷投飛、三谷三振、山下二匍に凡退す。
△二中=中野投匍、吉本、西村三振に斃る。(兩軍○)

〔第六回〕神港=町田三壘左を抜く安打に出で投手暴投に二進し丸泉三振、片山投匍後久保の遊匍を壘手又も一壘に悪投した間に生還し小柴の右飛に退く。
△二中=石場投飛後市二越安打に出で酒井三振後尾西四球に出で走者二一壘に據り好望に見えしが東田の遊匍に惜しくも退く。(神港一、二中○)

〔第七回〕神港=桝本捕飛に退き泉谷中前安打に出たが三谷の三匍に封殺された後三谷二盗せしも山下三振す。
△二中=三輪遊匍、中野、吉本三振して我軍振はず。(兩軍○)

〔第八回〕神港=町田三匍失に出で丸泉も三遊間安打に出で片山の投前軟打を一壘石場落球し滿壘となる、續く久保三振後小柴投前にバントせしを投手本壘に町田を封殺せんと投ぜしが捕手落して還し桝本の三遊間安打に丸泉生還す、泉谷左飛、三谷投飛に退く。
△二中=西村投匍失に出でしも石場の遊匍に封殺され市三振、酒井遊匍に無為。 (神港二、二中○)

〔第九回〕神港=山下右飛に町田捕邪飛に丸泉投匍に三者凡退。
△二中=此の回に入れずんばあらずと一同決眦して起つ、最初尾西三匍失に東田遊匍失に出で好機到來し三輪悲痛なる顔してボックスに起ちしが惜くも三振し中野又も三振を喫したが尾西、東田重盗して走者二三壘に據る、この時投手が球を握りて呆然とせる隙に本盗を企て成功し東田も尾西に習って本盗を企てしが本壘寸前に刺され武陽健兒最後の奮闘の甲斐もなく二中軍又起つ能はず五對一を以て遂に破れぬ時に三時五十分。

       打得安犠盗三四失残
 〔神 港〕       死
       數點打打壘振球策壘
 9 桝 本 501001002
 4 泉 谷 512000000
 6 三 谷 400111022
 3 山 下 500002000
 1 町 田 522000010
 8 丸 泉 522011001
 7 片 山 300110012
 5 久 保 400001011
 2 小 柴 300001102
       39572371510

       打得安犠盗三四失残
 〔二 中〕       死
       數點打打壘振球策壘
 5  市  401003021
 4 酒 井 401001010
 8 尾 西 310020101
 2 東 田 400020011
 1 三 輪 400001001
 7 中 野 400003000
 9 吉 本 300003000
 6 西 村 300002030
 3 石 場 300000011
       32120413185

〈神戸新聞〉
 大正13年5月11日(日)神戸・大手山下グラウンド
 午後1時=3時30分 審判・岡田(球)松原、中西(壘)
▽優勝戰
   (失策)100 301 020=7
   (安打)021 001 120=7
 神港商業 001 101 020=5
 神戸二中 000 000 001=1

   (安打)100 001 000=2
   (失策)110 000 012=5

〔神港商業〕 打得安犠盗三四補刺失残
       數點打打壘振球殺殺策壘
 9 桝 本 50100100002
 4 泉 谷 51200001300
 6 三 谷 40011104022
 3 山 下 50000201900
 1 町 田 52200003110
 8 丸 泉 52201101101
 7 片 山 30011000012
 5 久 保 40000101011
 2 小 柴 300001111212
    計  395723711226610

〔神戸二中〕 打得安犠盗三四補刺失残
       數點打打壘振球殺殺策壘
 5  市  40100303121
 4 酒 井 40100100410
 8 尾 西 31002010201
 2 東 田 40002003911
 1 三 輪 40000106201
 7 中 野 40000300100
 9 吉 本 30000300400
 6 西 村 30000202030
 2 石 場 30000000401
    計  321204131142775

 △三壘打=泉谷 △暴投=三輪 △試合時間=2時間30分

☆神港軍善戰して遂に代表チームの名を為す
    二中軍戰士の奮闘も五對一の戰績に惜敗☆


第一回。神港=強打者桝本三振を喫して退き泉谷二壘を誤まらしめて出たが三谷の遊匍に封殺され山下中堅に飛球を送って無為に終る。
△二中=市三振に退いたが酒井中前安打に出で尾西中飛の後東田の左飛を野手失する間に一擧三壘を襲ったが三壘寸前に刺さる。(兩軍零)

第二回。神港=町田遊撃内野安打、丸泉右前安打に共に出たが片山の捕前バントに町田三壘に封され久保の右飛の後丸泉、片山共に盗壘、小柴四球に滿壘の好機を作り觀衆熱狂したが桝本の投捕に惜しくも退く。
△二中=三輪遊匍失に出たが續く中野、吉本、西村の三者、町田投手の魔球に悩まされて三振凡退。(兩軍零)

第三回。神港=泉谷長棍一打遠く左中間に三壘打を戞飛ばして本壘を窺ふ時三谷の左翼犠飛に貴重なる一點を先取して神港軍意氣高し、山下三振、町田中飛に止む。
△二中=石場投匍、市三振、酒井二直に無為。(神港一、二中零)

第四回。神港=丸泉遊匍一壘低投に一擧二壘に進み片山の投前犠打に三進し後離壘したるため本三間に挟撃されたが三壘失に生還一點を増す、久保遊匍一壘高投に出たが小柴三振の後桝本の安打性の遊匍を壘手好く捕へ為め封殺さる。
△二中=尾西一匍、東田二匍、三輪三匍に神港軍守備堅し。(神港一、二中零)

第五回。神港=泉谷投飛、三谷三振、山下二匍、強打者續々凡死す。
△二中=中野投匍、吉本、西村共に三振して町田の怪腕益々冴え二中軍少し沈みたる感あり。(兩軍零)

第六回。神港=町田三壘左を抜く安打を戞飛ばし出で投手暴投に二進し丸泉三振、片山投匍後久保の遊匍を壘手又も一壘に高投した間に一擧本壘を陥れて又も一點を増し小柴右飛に退く。
△二中=石場投飛を挙げて死し續く市右中間安打に出で酒井三振の後尾西の四球に走者一、二壘に據って好望に見えたが東田の遊匍に惜しくも退く。(神港一、二中零)

第七回。神港=桝本捕飛に退き泉谷中前安打に出たが三谷の三匍に封殺された後三谷二盗したが強打者山下又も三振して止む。
△二中=三輪遊匍、中野、吉本亦又三振して二中軍振はず。(兩軍零)

第八回。神港=町田三匍失に出て丸泉の遊三間安打に二進、片山の投匍一壘落球に滿壘の好機を造る時久保三振の後を受けた小柴投前にバントしたしたのを投手本壘に町田を封殺せんとしたが捕手落球して之を還し桝本の遊三間安打に丸泉又生還して二點を増し續く泉谷左飛、三谷投匍に退く。
△二中=西村投匍失に出で石場の遊匍に封殺し市三振、酒井遊撃に神港軍守備益々固し。(神港二、二中零)

第九回。神港=最後の攻撃に移る。山下右飛に倒れ町田捕邪飛、丸泉投匍に凡退。
△二中=此の回に得點しなければ無残なる零敗を喫するので應援團の聲援凄く選手も決眦して起つ、最初尾西三匍失、東田遊匍失に共に出で好機到來し三輪悲痛なる顔をしてボックスに起ったが惜くも三振を喫し中野又も三振を喫したが尾西、東田重盗して走者三二壘に據る時尾西投手が球を握って呆然として居る隙に本盗を企て成功し零敗をまぬがれ東田も尾西に習って本盗を企てたが本壘寸前に刺され、さしもの大白熱戰の戰の幕も茲に終りをつげ結局五對一で神港軍の大勝に帰した。閉戰三時三十分。