大正10年(9陽会)1921年

NO5

《武 陽》
◎三度瀧中軍を粉碎す 大正10年9月23日(金)東遊園地
 一中に大勝せる武陽軍は、御影師範を撃破して意氣軒昂たる瀧中軍と對戰する事となりぬ。
 敵先攻、五回を通じて二壘を踏みし者一人も無かりしに對し、吾軍は第一回五點、第五回五點を得る。その間将積投手に代り、ダブルプレイの妙技を演じ、所謂行違ひの試合にて、五回ゲイム十A對零にて大勝す。
審判。三輪、橋本兩氏。

 瀧川中學 000 00=0
 神戸二中 500 05=10
 
(5回コールドゲーム)

〈神戸又新日報〉
大正10年9月23日(金)東遊園地 午前9時開始 10時20分閉戰
審判(球)三輪(壘)橋本

       打安盗三四過         打安盗三四過
 〔二 中〕         〔瀧 中〕
       數打壘振死失         數打壘振死失
 一 梅 田 200110   三 木 谷 210003
 遊 楠 見 311110   投右加 藤 200001
 捕投将 積 200020   遊 石 井 200003
 左 宇 野 410000   中 大 山 200000
 投右木 谷 401000   左 手 島 100111
 中 田 中 300100   捕 松 野 200002
 二 稻 田 301100   一 橋 本 000013
 右捕宇麼谷 202000   右投馬 越 100001
 三 難 波 201010   二 別 所 100100
    合計 2526450      合計 13102214

 ▲併殺=将積、稻田、梅田 ▲残壘=瀧中0、二中6 ▲試合時間=1時間20分

△第一回。(瀧中零、二中五)瀧中木谷劈頭三遊間を抜く安打に出たが加藤中飛、續く石井又中飛に併殺。
▽二中梅田捕手のインターフェアに出で楠見と将積四球を利し無死滿壘となり(瀧中投手加藤と馬越替る)宇野投失に三者相踵いで生還。木谷三匍に宇野本壘を強襲して成功し、田中三振、稻田遊匍一失に木谷生還、宇麼谷一匍失に生きたが難波遊匍に稻田本壘に憤死し梅田三振に已む、而も一擧五點を先取。

△第二回。(兩軍零)瀧中無為。
▽二中一死後将積三匍失に生き宇野左翼に安打、野手失に将積三壘に進んだが木谷左飛、田中の直球を遊撃手巧捕して危機を免れる。

△第三回。(兩軍零)瀧中無為。
▽二中一死後宇麼谷遊匍失に生き二盗後難波三匍に三盗し離壘して刺され、難波三盗したが梅田一匍に已む。

△第四回。(兩軍零)瀧中無為。
▽二中楠見三匍失に生き将積三飛、宇野右飛後二盗し木谷遊匍一失に一擧本壘を強襲して憤死。

△第五回。(瀧中零、二中五A)(二中投手木谷右翼に退き将積プレートに立ち宇麼谷捕手となる)瀧中一死後四球を利した手島は松野の投匍に詰殺、而も手島も併殺。
▽二中二死後宇麼谷遊匍失に生き二盗難波と梅田共に四球を利し二死滿壘となり楠見二壘越の安打に敵陣の混亂に乗じて三者生還、将積四球、宇野投匍失に生き木谷遊匍失に将積生還し五點を加へ結局零對十Aのスコアで二中大捷す。閉戰十時廿分。

《武 陽》
◎新興青年商業軍を撃破す 大正10年9月24日(土)神戸二中
 瀧中軍を粉碎せる我軍は、ダブルヘッドを以て、午後二時十五分青年商業軍と開戰す。敵先攻。無為の後、二の四球と宇野、木谷の安打に二點を奪ひし時雨沛然として到り試合を續行する事能はず遂にドロンゲイムとなる。

 よって翌廿四日本校庭に於て、改めて第一回より試合を始め、五回ゲイム十三對一にて大勝を得たり。
 我軍先攻。第一回三點、第三回十點を得たるに對し、敵軍は第五回和田四球を得、二三壘を連盗し下山の一壘安打に生還、漸く零敗を免れしのみ。

  神戸二中 3010 00=13
 青年會商業 000 01=1

      (5回コールドゲーム) 

〈神戸又新日報〉
大正10年9月24日(土)神戸二中 
午後3時5分開始 4時40分閉戰 審判(球)山崎(壘)粟田

       打安犠盗三四過        打安犠盗三四過
 〔青年會〕         〔二 中〕
       數打打壘振死失        數打打壘振死失
 遊 日 向 2000004  右 木 谷 3101000
 捕 玉 澤 2200003  右 村 尾 1000000
 左 石 本 1010100  遊 楠 見 4102000
 投 小 泉 2000101  投 将 積 2002020
 一 庄 司 2000100  左 宇 野 4300000
 二 和 田 1001110  一 梅 田 3000210
 中 長 光 2000200  三 難 波 4201000
 右 下 山 2100000  二 稻 田 3000000
 三 増 田 1000112  捕 宇麼谷 2100011
                中 田 中 3101000
    合計 153117210     合計 29907241

 ▲三壘打=田中 ▲二壘打=木谷、宇野 ▲逸球=宇麼谷1、玉澤1
 ▲暴球=小泉1 ▲残壘=青商2 ▲試合時間=1時間30分

☆神戸二中又復大捷
第一回(二中三、青商零)二中木谷三匍に生き楠見の中前安打に長驅生還、續いて楠見二盗三盗、将積四球を利し宇野遊匍に楠見本壘を強襲し捕逸球に生き續く将積又生還三點を先取、宇野は三盗に刺され梅田三振、難波遊匍失に生き二盗したが稻田一匍に已む。
▽青商一死後玉澤三壘右を抜いて安打し石本の投軟犠打に送られたが小泉遊飛に終る。

第二回(兩軍零)二中二死後左翼越の二壘打を戞飛ばしたが楠見投匍に已む。
▽青商三者三振。

第三回(二中一○、青商零)二中将積遊匍低投に生き二盗宇野左翼二壘打に将積生還。梅田四球に出で難波の中右間安打に二者生還。稻田投匍に難波本壘を衝いて捕手逸球に生還し宇麼谷中前安打に稻田生還したが宇麼谷二盗に刺され田中中堅に三壘打を戞飛し木谷遊匍失に田中生還、楠見又遊匍高投に直に二壘を占め将積四球、遊撃内野安打に二者相踵いで生還、三盗逸球に生還、梅田三振、難波内野安打二盗、稻田投匍に漸く已む。而も此回一擧に十點を加へ勝を制して仕舞ふ。

▽青商(二中右翼手木谷退き村尾代る)一死後増田四球を利し日向左翼に飛球を呈し玉澤三壘左を抜く絶好の安打を放ったが増田離壘し二壘に刺され可惜好機を逸して仕舞ふ、鉦や太鼓入りの青商應援團却却賑かに彌次るが技倆の差は怎ふすることも出来ない。

第四回(兩軍零)兩軍無為。

第五回(二中零、青商一)二中将積左翼に大飛球を呈して野手巧捕して宇野遊撃右を抜いて安打し二盗、梅田投匍に三壘に送られたが難波二匍に、青商纔に危機を免れ應援團もホット息を吐く。
▽青商最後の攻撃に入り掉尾の勇を揮ひ應援團亦聲援努め和田劈頭四球を利し二盗に成功し長光三振後逸球に三壘を得、下山右翼に絶好の安打し和田生還纔に零敗を免れ應援團狂喜抃舞する、増田三振に已み規定に依り五回にて打切り結局十三對一のスコアで二中大捷利。閉戰四時四十分。