巻頭文−8&9

NO8

 お祝いの言葉

 

 


神戸一中・神戸高校野球クラブ会長
 木下 透

  神戸二中・兵庫高校野球部が創部100周年を迎えられますこと、誠にお目出度く心よりお祝い申し上げます。また、その輝かしい実績と歴代の先輩方によって培われた優れた伝統とに深く敬意を表したいと思います。

 貴校野球部は、大正4年の第1回全国野球選手権大会に県代表で出場し、戦後の第1回選抜大会に出場するなど、中学・高校野球史の節目節目にその足跡を残されました。

 それは、言わば「兄弟校」の如く歩んできた我々にとっても誇らしいものでありましょう。1908年二中創立の年に創部した野球部が、早くもその秋一中と対戦して以降、幾多の試合を重ね、大正3年からは全校応援の下、定期戦が始まりました。

 「神戸の早慶戦」と呼ばれた時期を経つつ100年の永きにわたり、唯一無二の好敵手として現在まで競い合ってきました。私が神高に在学中の昭和30年前後には、兵高は選抜大会に出場し、私の1年上にはプロ野球史上7人目の完全試合投手の森滝さんや、2年下にはタイガースの投手で巨人の王選手の抑え役として「王キラー」と称された太田さんらがいて、戦後の兵高野球史の中では最強の時期だったかと思われます。

 その頃に定期戦をはじめ様々な対戦で伯仲の戦いを重ねられたことが懐かしく嬉しく思い出されます。二中・兵高野球の真髄は、「偉大なる人格と不撓の精神の涵養」にこそあると承っています。私の記憶の中にも、兵高野球の華やかさを排し固く引き締まったプレーと緊密感漲るチームワークの印象が強く残っています。

 メディアの過熱報道やコマーシャリズムの臆面もない侵蝕の故に、本来の姿を失いかねない高校野球の現状に抗して、現役諸君が兵高野球の真髄を具現すべく、爽やかな品格ときびきびした歯切れよさとを持ったプレーを続けられることを願う次第であります。

 それが100年の伝統の継承であるとともに、新しい歴史創造への第一歩にもなると思います。現役諸君の健闘を祈ります。

 

創部100周年によせて


 

 

                   武陽野球倶楽部会長 
                   
勝 順一(54陽会)

 母校野球部は明治41年6月に鷹取の地で呱々の声を上げました。爾来幾星霜、平成20年6月をもって創部100周年という大きな節目を迎えることになりました。この輝かしい歴史と伝統を皆様とともにお祝いしたいと存じます。

 さて、わが武陽野球倶楽部は平成13年7月に「神戸二中・兵庫高校野球部部史」を刊行しました。これは明治41年の創部から平成13年までの93年間にわたる膨大かつ貴重な記録を丹念に編纂したもので、特に明治、大正時代から戦前の記録は、その基礎となる資料を学校関係者の皆様並びに野球部の先達が散逸することなく大切に保存された賜物であり、この間の熱戦・名勝負や名選手が目に浮かぶ、まさに歴史的価値の高いものであると思料いたします。

 創部100周年に当り、改めて通史100周年記念史の刊行も考えられましたが、既刊の部史との重複記述は避け、平成13年度以降を記録するに止めることにしました。これは将来発刊されるであろう大部史とのつなぎ役であると同時に前記部史の続編として扱って頂ければ幸いです。

 母校野球部が来るべき120周年、150周年に向けて、更に発展することを祈念して「100周年記念史」刊行のご挨拶といたします。
 

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